真田コラム

○○を思うて何が悪い(1月16日ニュースレター掲載分)

人気エッセイスト阿川佐和子さんの父でもある作家阿川弘之氏に

「国を思うて何が悪い」という著作があります。

1987年に出版された当時のベストセラーです。

 

日本では、「国を思う」というと右翼だと思われる不思議な風習がありますが、

単純に生まれ育った土地、郷土を、国家を「思うこと」は

極めて当たり前のことです。

普段、そんなことを考えない人も海外に出ると、

「国を思う」ようになると言います。

グローバルな時代になったと言っても、人は無国籍になる訳ではないのです。

 

サンフランシスコに住んでいる在米14年になる私の親友は、

いつも日本のことを思い憂いて、日本の経済や政治の動向について、

思うところを伝えてくれます。

税金のことを考えてシンガポールに移住した知り合いもいますが、

それで日本と縁が切れる訳ではありません。

余計に日本のことが気になっているようです。

 

ところで、外資系コンサルティングファームで働く人たちの中には、

自分の市場価値の向上を第一義に考えて、戦略的に転職を繰り返す人がいます。

しかし、あまり幸せな結末を聞きません。やはり日本社会においては、

個人の成長や幸せは組織の成功と切り離して考えることは

難しいのではないかと感じています。

 

富士フイルムホールディングスの古森重隆会長が書かれた

「魂の経営」の中に、こんな一節があります。

 

「自分のためでなく、会社のために何ができるか。

自分の部門は何をするべきか。

そのためには自分の部門は何をするべきか。

そのためには私自身は何をしなければいけないか。」

 

伸びることができる人の条件として、「会社を思う気持ちが強い人、

オーナーシップを持って会社のために仕事ができる人だ」と喝破しています。

 

私たちは自律すべきですが、孤立すべきではありません。

転職することも、海外に移住することももちろん自由ですが、

自分が集団の中で育まれてきたことも事実です。

「国を思う」「会社を思う」ことは、自分が幸せになるためにも

必要なことではないでしょうか。

 

ニューヨークの従妹の家でおせちとお雑煮の無い正月を送りながら、

そう思いました。

更新日: 2014年 01月 17日

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