サーバントリーダーシップ

人を活かすサーバント・リーダーシップの力 ~ vol.2 サーバントでないとリーダーシップは機能しない

■サーバント・リーダーシップに対する誤解

「サーバント・リーダーシップ」には必ずつきまとう誤解があります。
「『サーバント』って『奴隷』や『召し使い』のことだろう」と言われるのです。
しかし、ここで言う「サーバント」とは「奉仕する」「仕える」あるいは「支援する」 といった意味なのです。
ここまで説明しても、反論が返ってきます。
「今のこの大変な時代に、『支援』している場合じゃないだろう。リーダーこそは引っ張らないと! 今はそういう『強いリーダーシップ』が必要なんだよ」
こういった声は非常に多いものです。確かにこの厳しい時代には「強いリーダー シップ」が必要だという考えは私も同じです。

「強いリーダーシップ」とは何でしょうか? 「強いリーダーシップ」と聞いて、 どんなリーダーシップをイメージしますか?
もし、イメージすることが難しいようであれば、もっと基本に立ち返って考えて みましょう。
そもそも、リーダーシップって何でしょうか?

■リーダーシップとは?

私は【リーダーシップ】=「ある目的に向かって、個人や集団をその方向に 行動するように動機づける影響力」と理解しています。混乱が起きやすいのは、 世の中で管理職やリーダー的な立場の人は二つの影響力を行使しているからです。

もう一つの影響力とは【マネジメント】のことです。【マネジメント】はルールや制度を使って権限で人に影響を与えます。それに対して【リーダーシップ】は属人的で、 人の心に働きかけます。つまり、【マネジメント】には肩書きが必須ですが、【リーダーシップ】は肩書きとは関係ないのです。「これをしよう」と言いだした人に、「いいですね」とついてきてくれる人が存在した時点で【リーダーシップ】は発揮されて いるのです。

極端な例をあげれば、幼児が幼稚園で、「次は、お店やさんごっこして遊ぼうよ」と 言いだし、周りの子たちが、「そうしよう。やろう!やろう!」と従えば、 そこに【リーダーシップ】は存在するのです。

■あなたはリーダーシップを使っていますか?

つまり、肩書きのある人は【リーダーシップ】と【マネジメント】の両方を 使えるのですが、中には【リーダーシップ】だけ使って【マネジメント】を使ってない人、 反対に【マネジメント】だけ使って【リーダーシップ】を使ってない人もいるのです。

あなたは本当に【リーダーシップ】を使っていますか?
「強いリーダーシップ」とは 肩書きによらず、「ついていきたい」という人を 生み出す強い影響力のことなのです。 では、人はどういう時に「ついていきたい」と思うのでしょうか。

一つはビジョンや価値観などの方向性が魅力的で共感できた時です。 人は夢を見たいのです。だから、「つまらないな」と思うことや「共感できないな」 ということを実行することには気が進まないものです。

■影響力の源泉①―能力

では、人に影響を与える属人性とはどんなものがあるのでしょうか。
それには二つの要素があります。

一つは能力で、もう一つは人間性です。

仕事をしている人であれば、仕事の実務能力が高ければ、当然影響力が 強くなります。実務がからきしできない人が、職場で大きな影響力を発揮 することはできないでしょう。

しかし、実務能力さえあれば、リーダーシップがあるかと言えば、そうとは 言いきれないでしょう。人をリードする立場の人は、慣れ親しんだ実務ばかり ではなく、新しい事態に対応することもあります。
こんな時は経験のみに頼れないので、物事を論理的に考える必要があります。 あるいは、判断が難しい場面で意思決定を求められる場合もあります。 これには論理的な思考力だけでなく、「胆力」や自分なりの哲学が必要な場合も あるでしょう。

また、決定したことを周囲の反対にあいながらも推進していく「実行力」も大きな 影響力となるでしょう。先ほど説明しました魅力的なビジョンや価値観を 提示する こともリーダーの能力だと言えます。

多くのリーダーシップ論は、この能力の話に終始しています。
しかし、能力がいくら高くても、人間性が伴わなくては、人は「ついていこう」と 思わないのです。

■影響力の源泉②─人間性

リーダーが遠い存在で日頃接することがなければ、人間性はあまりリーダーシップに影響がないのかもしれません。リーダーの人間性そのものを 知る機会がないからです。しかし、日常的に接する機会のある相手であれば、人は人間性によって「ついて行きたい」と思うかどうか大きく分かれます。

人間性は二つに整理することができます。

一つは「良好な人間関係」です。
どんなに能力の高いリーダーでも、自分のことを無視したり、信用してくれなかったり、冷淡な人に「ついて行きたい」と思う人はいません。つまり、リーダーシップが機能するには、リーダーは相手に対して関心を持ち、人として尊重し、信用し、 支援してあげることが必要なのです。

もう一つは、リーダーの「人としてのあり方」です。
例えば、能力があって 自分に優しいリーダーでも、「人としてどうなんだろう?」 と思う言動を見た時に 「ついて行きたい」とは思えなくなるでしょう。
人は相手の何を見て 「人としてのあり方」を感じるのでしょうか。

「どんな価値観や使命感を持っているのか」は非常に重要なポイントです。
たとえば「利益さえ出れば何をしてもいいんだ」「世の中、勝ち負けが全てで、 人と協力する必要はない」「下請けや裏方の人は客じゃないから見下していいんだ」 という不健全な価値観の人について行きたい人は少ないでしょう。

野心は物事を成功させるために必要なことですが、それが単に「自分が出世したい」
「自分がいい思いをしたい」といったエゴ的な方向では、人はついていきません。
「皆でよくなりたい」「すごいチームを創りたい」という公に向いた野心であれば、 人はついて行きます。

言行一致も行動の一貫性もリーダーシップにとって非常に影響があります。 立派なことを発言することは簡単ですが、実際に行うことは難しいものです。 また、時々実行することと、常に実行することでは全く難しさが違います。
また、余裕がある時にはできるけど、プレッシャーのかかった時に同じことを 実行するのは難しい場合もあります。

誠実さ、倫理観、謙虚さも影響力の源泉として大きな要素です。

 

 

更新日: 2012年 02月 28日

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