サーバントリーダーシップ

人を活かすサーバント・リーダーシップの力 vol.10 人間らしい生き方、住まい方、働き方を提唱するOKUTA

お客様の快適な暮らしを実現するためにライフスタイルに合わせた「自然派パッシブデザインリフォーム」を
提唱するオクタ。 山本社長に、リーダーシップの在り方について伺いました。

株式会社OKUTA代表取締役社長 山本拓己氏

 

■自然な仕上がり、深い質感

── 最初に、会社の概要を教えていただけますか?

山本 基幹事業は住宅のリフォームで、首都圏で13店舗展開しています。1992年に設立しましたが、
ちょうど10年たった2002年から、自然素材を使ったデザインリフォームに大転換しました。  

今、外気は35度ありますが、この事務所は除湿するだけで、25度です。壁が呼吸し、化学物質のにおいが一切しません。
緑のカーテンと、真空ガラスという熱を通さない素材を使っています。今、湿度は58%です。
湿度は60%を切ると、一気に快適になります。

── 自然素材は、湿度も調整するんですね。

山本 いちばん除湿効果が上がるEM珪藻土(けいそうど)という壁材を採用しています。
そうすると、勝手に壁が仕事をします。乾燥すれば、壁が湿気を出してくれます。できるだけ自然の素材が
持っている機能を使い、家電などの設備に頼らない環境作りを提唱しています。

── ある意味、非常に効率が悪いでしょうね。

山本 そうですね。フルオーダーメイドになれば、打ち合わせにものすごく時間がかかります。
お客様の立場になってみると、自分の好み、こだわりをとことん満たしてくれるところがなくてはならないと
思うんですね。経費は一般のものよりもかなり割高になりますが、皆さん、満足してくださいます。
自然素材を使ったオーダーメイドリフォームに関しては、施工しているところがほとんどないので、
弊社が業界ナンバーワンとなっています。

 

■量から質への転換

── 私にとって興味深いのは、真反対の方針に転換されたことです。 倒産寸前になって生まれ変わった
ケースは幾つかあるんですが、まだ業績が伸びていたときなだけに、非常に希有な例だと思います。

山本 2001年に現会長の奥田が交通事故に遭い、同乗していた親友のオーストラリアのプロサーファーが亡くなり、
会長だけが生き残りました。入院中、「世界中の海の中で、自然に対して警鐘を鳴らしていた親友が自分に
伝えていたメッセージは何だろう。自然と関わっているサーファーとしての自分がどのようにしたら
社会貢献できるのか」と考えました。
そこで、レスター・ブラウン博士が書いた『エコ経済革命』(たちばな出版)という本を読み返していったときに、
エコと経済は同一線上にあるということに感銘を受け、ビジネスの方向をそちらに転換したんです。

── 自分たちの使命が何であるのかを見つめ直したときに、人生観がガラッと変わったんですね。

山本 私は1995年に途中入社し、2004年に社長に就任しました。ですから、私はオーナー経営者ではありません。
とても珍しいケースです。創業からの10年は拡大成長、売り上げ至上主義でしたが、2002年に大転換をして、
何を一番大切にしたいかを考えたときに出てきたのが、企業の持続でした。売り上げが100億円の企業を
10年で潰してしまうより、10億円の企業を100年続けた方が、社会に対する貢献度が高いと考えたのです。  

私たちは、理解してくれるお客様と信頼関係を結べることが、持続可能な経営だと思っています。
これは一回きりではなく、生涯にわたって続いていくものだからです。ですから、持続可能性を考えたら、
腹八分経営なんです。目標も予算も8割でよしとする。

 

■ロハスとの出会い

── ロハス(LOHAS)な会社をめざしているそうですね。

山本 直訳すると、「健康と環境に配慮した生活様式」です。 シンクタンクチームによる調査の結果、
日本人の4人に1人はロハスの傾向を持っていることがわかりました。  

当時、コンビニでおいしい水が売れ始めました。水道の水を飲むのはいやだというロハス志向の人が
増えたからだと思います。少し値段が高くても、健康志向になると、買い求める人がけっこういることが
わかりました。その4人に1人がお客様になればいいと考えたのです。  
そこで、そういうお客さんたちと共感できるように、スタッフを教育していく必要が出てきました。
2004年からインナーカレッジを始めました。住文化について独自にカリキュラムを組み、社員教育をしています。
こんな七面倒くさいことをやっているところは他にはないと思います。

 

■会長はサーファー 社長はミュージシャン

── 経営方針を大転換したとき、従業員の発想の転換の前に、経営陣の発想の転換ができたのは
すごいなと思います。

山本 実は、うちの会長はサーファーで、社長である私はミュージシャンなんです。
本音を言うと、今まで、この2人がビジネスマンのような顔をして、無理してやっていたんです。
ならば、もっと気楽に、格好よくやろうやということになりました。要するに、自分らしく自然体で
いられる経営スタイルにしないと、持続できないと考えたからです。
2002年以降、ロハスが会社のキーワードになってから、会長はサーファーだということを、
私もミュージシャンであることを公表してきました。

── そういう方向転換とともに、マネジメントの在り方や社員の教育にどのようにして取り組まれたのでしょうか。

山本 まずは、我々が何のために存在しているのかということを、会社、経営陣、各事業部、各部署が、
はっきりと認識できるように、みんなでミッションステートメントを作り、言語化していきました。
これは今でも継続しています。  

サーファーもミュージシャンも、サンドイッチを食べながら、一日中波に乗り、ギターが弾ければ、
お金がなくてもハッピーなんです。そういう豊かさを体感したことがある人は、根底のところで
つながっているのではないかと思っています。
けっこう多くの人が、若いころにやっていた自分の好きなことを封印しているんですね。  

それから、新入社員には、森林の間伐体験を義務化しています。あるいは、駅前の清掃活動に
仕事中でも行ってもいいよと言っています。役職者になると、富士山には必ず登るとか。
地域の農家の皆さんから有機米を買い支えているので、社員やその家族に、田植えや稲刈りに行く機会を
設けています。  

この会社には、15~30分、昼寝をしてもいいという制度があります。
昼寝をすると、その後の生産性がかなり上がります。みんな、自分の枕を持ち、眠くなったら、
その人なりの格好で寝ています。そのときは、電話も出なくていいし、起こしてはいけないことになってます。
職場の中で自由にやらせてもらったら、気持ち良くなりますよね。その中で発想したりコミュニケーションしたほうが
楽しいし、みんなも多分そうだろうと思います。そういうやり方が、私も会長も好きなんです。

 

■私の使命

山本 私は、仕事に関しては、今やっていることが好きかどうかをまず問うべきだと思います。
そこには、三つのバランスがあると思うんです。ワクワクして好きなことをやっているか、
好きな人たちと一緒にやっているか、そして、食べていけてるか。この三つがバランスよく満たされていたら、
事業の大きさに関係なく、幸せだと思います。行き着いたのはそこなんですね。

── 自分らしい社会への貢献の仕方というビジョンを描いて、一緒にやりたい人が頑張ってくれるように
応援していく山本社長はまさにサーバント・リーダーシップを実践しておられるのではないかと思います。

山本 あるときは潤滑油になり、環境づくりをし、コミュニケーションをとったりして、
うまく運んでいくのが私の使命だと心得ています。

 

 

更新日: 2012年 12月 26日

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