サーバントリーダーシップ

人を活かすサーバント・リーダーシップの力 vol.12 使命を背負った本当の自分と出会う~サーバントリーダーになる出発点

「自分は何者か」「本当の自分はどういう人間か」「自分はどういう存在でありたいのか」
これらを自問自答することは、サーバントリーダーになる出発点なのです。

 サーバントリーダーを創るものに「愛」と「謙虚さ」があります。

■愛  

人を「愛」する気持ちを育むにはどうすればよいのでしょうか。人を「愛する気持ち」は「感情」ですが、
「愛する」こと、そのものは「行為」です。  

「感情」は「行為」によって変わるといいます。
当初「愛するという感情」がなくても、人を愛そうとする「行為」を行うと、「愛するという感情」が自然に
後から起きてくるというのです。  

たとえメンバーへの愛情がさほどなくても、リーダーがメンバーに積極的に声をかけ、メンバーの話を
しっかり聴いてあげることは同じ効果を生むのです。関わりを多く持てば自然と愛情は湧いてきますが、
関わりが少なくなれば愛情は自然と減ってしまいます。

 

■謙虚さ  

自分の技量、自分ができる範囲を知っていれば、見栄や虚勢を張ることもないし、自然体でいられます。
それは、心が強い状態とも言えます。謙虚さを身につける方法を考えてみましょう。

① NOと言える人を側近にする

謙虚であるためには、本当の自分を知る必要があります。自分をありのままに見なくてはいけません。
自分を客観視することが必要なのです。  

では、どうすればいいのでしょうか。他人の目に自分がどう映っているか、耳の痛い話も含めて率直に話を
聞くのです。そういう話をしてくれる信頼できる人を周りに置くのです。「それは問題だと思いますよ」と
直言してくれる部下や仲間が必要なのです。これは結構辛い。しかし、謙虚さを身につけるには非常に効果が
あります。

②現場に出る  

自分が謙虚に努力せざるを得ない場に身を置くことです。昔、自分が経験したことと、今、現場で起きている
ことは全く違うかもしれません。にもかかわらず、昔の経験をもとに上から目線でメンバーに一方的な
指示や命令を出していないでしょうか。  

要は、実際に現場に出てみることです。時代や顧客、ビジネスの変化に接すれば、自分の無知を知ることが
できます。また新しい現実に対応しきれない自分を観ることで思い上がりに気づきます。そういう経験が
自分を謙虚にしてくれるのです。

③つながりを意識する  

多くの場合、成功に至るには、さまざまな人の協力があったはずです。今の自分は自分一人の力で
立っているのではなく、多くの人やモノに支えられていることを認識する必要があります。  

私たちはどんなに個人の独立性を主張しようと、なんらかのつながりがあるネットワークの中の一員です。
そのことを認識できれば、感謝の気持ちが湧いてきて、謙虚さを身につけることができます。  

つながりを認識する一つの方法として、自分や家族、親族の歴史、会社や国の歴史を学んでほしいと思います。
自分は決して孤立した存在ではなく、さまざまなつながりの中で存在することを再認識するのです。

④高い目標を持つ  

いつも達成できる安全な領域でしか活動しなければ、自分の不完全さに気づくこともありません。
いわゆる井の中の蛙状態です。広い世界を知らずして、「自分はできる」と自己満足に陥っているのです。
これでは謙虚さは身につきません。  

1割増し、2割増しの簡単に達成できる目標ではなく、その時点では達成できないような目標にチャレンジ
するのです。達成できるかどうかわからない高い目標に挑むとき、人は初めて自分の能力の不足に気づきます。
高い次元にチャレンジし続ける人は、それゆえに謙虚になるのです。  

スポーツ選手でもオリンピックを目指しているような人は、自分の限界に挑戦しています。
だから謙虚な選手が多いのです。一方、目標が低い人は自分の限界に挑戦していないので、過信して井の中の
蛙と化し、傲慢になっている場合があります。謙虚さを身につけるためにも、高い目標を持つことが必要なのです。

 

■自分を知り、自分を深く掘る  

さて、サーバントリーダーになる出発点があります。それは、「自分は何者か」「本当の自分はどういう人間か」
「自分はどういう存在でありたいのか」を問うことです。自問自答する必要があるのです。  

しかし、私たちは日々目の前のことに追われて、じっくり内省していません。新しい知識や技術を習得するためには
時間を割くのに、内省に時間を割こうとはしません。ですが、昔から日本では本当に優れたリーダーは、
座禅を組んだり内観をしたり瞑想をすることで、内省に取り組んできました。  

自分を深く掘る作業は辛く、時間のかかる仕事です。自分を深く掘った先に出会える「本当の自分」とは
何なのでしょうか。それは「使命」を背負った自分だと思います。 「使命」の意味を辞書でひいてみると、
「与えられた重大な務め。責任をもって果たさなければならない任務」とあります。使命とは必ずしも自分が
望んだものではないのです。第三者がリーダーに託したものなのです。つまり「使命」に生きるとは
「人に奉仕する」ことに他なりません。  

リーダーが歩み始める時にはある「想い」が起こり、それが強烈なものとなり「野心」となります。
リーダーは社会でもまれるうちに「自分の不完全さ」を学び、「謙虚さ」を獲得していきます。
またさまざまな人とのかかわりの中で「愛」を知り、いろいろな人のお蔭で生きている自分を知り、
「つながりの世界観」を身につけていきます。こうやってサーバントハートを磨いていくのです。
修羅場や試練を通して、「自分とは何者か?」「何を大切にしているのか?」を問い続け、
「自分にはこれしかない」「これで人生を全うしていこう」という使命を持った「本当の自分」に
出会うのだと思います。  

リーダーはこうやって試練の中で使命を発見するのです。使命は自分勝手に決めたものではなく、
天から与えられたものです。ここでいう天とは、社会や世の中から与えられたものだと解釈してもよいと
思います。  

世界がますます複雑になり、相互依存の関係になる現代において、リーダーが自分のことだけ、
自分の組織のことだけを考えていては、結局のところ自分の組織も自分も行き詰まってしまいます。
今こそリーダーの在り方を再構築し、相手のことも考え、下から支えるリーダー、すなわちサーバントリーダーに
成長することこそ歴史の必然だと私は感じています。

 

 

更新日: 2013年 02月 25日

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