真田コラム

恒常的な成功(9月7日ニュースレター掲載分)

「人々は本物の経済的貢献と社会的価値を生み出す企業のみが
成功する権利を持つことを確信してしまった。
恒常的な成功はより高尚な経営哲学を遵守することによって可能になる。
顧客が一番で、社員とマネジメントが次に、株主が最後に来ることを認識し、
社会に対する責任を全うすることが、より高度な利益の追求方法なのだ。」

この言葉はいつの時代の発言だと思いますか?
なんと、今から77年前、1935年のジョンソン・エンド・ジョンソンの
CEOロバート・ウッド・ジョンソン Jr.の発言なのです。
この考えが基になり、1948年に有名な「Our Credo」が制定されたのです。
当時は、企業の社会的責任や持続性について、これほど明確に認識していた
経営者や企業は他になかったのではないでしょうか。まさに慧眼と言えます。
現在では、企業が持続的に成功するためには、社会的な公正さや環境への
配慮などを通じて消費者、取引先、地域社会、株主、従業員などの
ステークホルダーに対して責任ある行動を取るべきだというCSRの考えは一般的になりました。

マイケル・ポーターが、ハーバードビジネスレビューでこう書いています。
「もはや、CSR(企業の社会的責任)の時代ではない。
これからはCSV(Creating Shared Value、つまり共有価値の創造)が
企業の目的だ」CSRの観点だと、企業は「コストがかかるけれど、それを
しないと社会的評判が落ち、悪くすると消費者やメディアから非難され、
結果、ビジネスに悪影響をあたえる。だから、一定レベルの社会貢献を
やらなくてはいけない」と義務的考えます。
つまりあるステークホルダーの利益のために、企業の利益を削ることに
なります。価値の総和は増えない、ゼロサム状態です。
CSVの考え方は、企業活動を通じて社会的問題を解決し、
全体としてシェアできる価値を創造するソーシャルイノベーションの考えた方とも言えます。

インドでスクーターに両親と子供が乗って走る危険な習慣を
解決すべきだと考えて、スクーター家族向けの移動シェルターとしての
車を開発したタタ・グループやインドの貧しい農村の女性たちに、
ユニリーバ商品の訪問販売の仕事を教育しながら、地方の田舎市場に浸透するユニリーバ。

CSVを行うには、自分たちが提供できる社会的価値を改めて考え直す必要があります。
それができた企業こそが、「恒常的な成功」を手にすることができるのです。

更新日: 2012年 09月 07日

コラム一覧へ