真田コラム

技術論と感情論(10月18日ニュースレター掲載分)

昔から、ニュースを見ていて納得できないことがあります。
それは、本来技術的な話のはずのテーマがイデオロギーや感情論で展開されていることです。

たとえば、竹下内閣時代に消費税の創設が争点だった時です。
あるニュースショーで、こんなミニドラマが放映されました。
小さな男の子が100円を握りしめて、駄菓子屋に買い物に行くのです。
そうすると、駄菓子屋のおじさんが言います。
「ぼうや、今日から消費税が始まったから、このお菓子は100円では買えないんだよ」
すると、その男の子は泣き出すのです。
そしてカメラがスタジオに戻って、キャスターが言いました。
「こんなこと許していいんですか?」

実に馬鹿げた話です。
そこには、税と財政の健全性の話も、税の公平性や直間比率の話も、消費税が景気に与える影響も何もありません。
あるのは、ただの感情論です。しかし、本来これは技術的な話です。

その昔、安保闘争という闘争がありました。
これも、本来は国防をどうするかの技術論のはずですが、実際はイデオロギー論争となっていました。
本来、技術論のテーマに感情論やイデオロギーを持ち込むと、争点は技術ではなくなってしまい、
結局のところ、皆にとって利益をもたらさない結論を導いてしまいます。

政治の話だけではありません。
企業活動においても、個人の感情論やイデオロギーで議論すると、企業にとって、不幸な選択をすることになります。
もちろん、将来どういう状態を良しとするのか、理想のゴールをどう描くか、
これは人の感情やイデオロギーが反映される必要があります。
しかし、それをどう実現するかの方法論は、あくまで技術論であるべきだと思うのです。

リーダーは2つのことをする必要があります。

1)みなの感情をくみ取り、その組織が大切にしている価値観やイデオロギーを踏まえて、ゴールを示します。
2)それを実現するためのプロセスはあくまで技術論として合理的に選択する。そこに感情やイデオロギーを混ぜこまない。

リーダーは技術論と感情論を切り分けて、使いこなすことが必要なのです。

更新日: 2012年 10月 19日

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