真田コラム

揺るがないリーダーの哲学(5月11日ニュースレター掲載分)

あなたなら、若くして外資系大手IT企業のトップに就任した後に、
全く畑違いの業界のトップを依頼されたら引き受けますか?
しかもIT業界とは対極のアナログな世界。
経営再建中のスーパーマーケットの社長です。

最初は固辞しながらも、「日本のためなら」と経営再建中のダイエーの社長を引き受けたのが、
現在、日本マイクロソフト社長の樋口泰行氏です。
パナソニック、ハーバードでMBA取得、ボストンコンサルティンググループ、アップルコンピュータ、
コンパックを経て45歳で日本ヒューレット・パッカード社長に就任。
眩しいほど華やかな経歴ですが、私が講演会で拝見した印象は実に謙虚で控えめな方でした。

お話を聞いて感動した私は、ご著書『愚直論』『変人力』をはじめ
インタビュー記事などを読み漁りました。
樋口社長は、元々内向的で話し下手で、人一倍不器用だそうです。
最初のパナソニックではなんと、溶接機事業部で毎日溶接をするスタートだったそうです。
しかし、与えられた環境から逃げず、愚直なまでの努力と熱意で
目の前の仕事と格闘し道を切り拓いてこられたのです。

メンバーのことを分かってくれない上司の下で苦しんだ時に
「みんなが生き生きと働ける職場をつくりたい」と考え、そういう
想いが徐々に「自分が社長になって躍動感のある会社をつくる」
というイメージにつながっていったようです。
火中の栗を拾う形でダイエーの社長を引き受けたのも、
「ダイエー社員たちの力になりたい」という想いもあったそうです。

だからこそ、閉鎖する50店舗全てに足を運び、全従業員に経緯や感謝を伝えたのでしょう。
「最後、シャッターを閉める瞬間、90度に体を折って
頭を下げながら、何年もの間務め上げたパートさんが
ボロボロ涙を流す姿を見て、こちらも言葉が出なくなった」
という言葉に樋口さんの人柄を感じます。

製造業、IT業、流通業、業種が違えばリーダーが取るべき戦略戦術は違うでしょう。
しかし、リーダーの哲学は変わらないはずです。
哲学は状況に応じて変化するものではありません。
状況に応じて変化するのであれば、それは哲学ではなく手法でしょう。 

私は樋口社長に「会社を良くしたい。
社員が幸せに働ける環境を作りたい」という哲学を感じました。
そこで、サーバントリーダーシップフォーラムの基調講演をお願いしました。
サーバントリーダーシップは手法ではなく、哲学です。
リーダーとしての「ぶれない軸」です。
是非、樋口社長の生の話を聴きにお越し下さい。

更新日: 2013年 05月 12日

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