真田コラム

野心の方向(10月21日ニュースレター掲載分)

9月27日にKLAB(クラブ)株式会社がマザーズに上場しました。
私の弟が経営するスマートフォン向けのゲームを開発している会社です。
彼は共同経営者としてサイバードを上場させて以来、今回で2回目の上場です。
身内ながら、そのバイタリティには脱帽です。

不思議な事に彼の周りには上場を果たした経営者が何人もおり、
その人達には共通して成功への野心があります。
今の日本に欠けていると言われる野心が彼らには明確にあり、
それが原動力となって成功への道のりを突き進んでいるようです。

しかし、残念ながら、間違った野心によって身を滅ぼす人もいます。
ITベンチャーバブルがはじけた時には、そういう人がよく話題になりました。
つまり、野心的であること自体は良いことですが、野心の方向が問題なのです。

ベストセラー「ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則」(日経BP社)の中に
「第五水準の指導者」という話がでてきます。
第五水準とは、指導者として最高水準であることを指し、彼らが真に偉大な組織を創るとしています。
「偉大な企業に飛躍した企業事例では全て、
転換の時期に第五水準の指導者が指揮をとっていた」とまで本著では言い切っています。

この章には次のような野心についての記述があります。
「野心の方向性が自分個人の名声や資産に向けられていては第五水準の指導者にはなれない。
野心があっても、その方向性が『組織の成功』に向けられていることが重要なのだ」と。

野心の方向性が自分個人に向いているリーダーは、
エゴが働き、常に組織の中で自分が一番でないと我慢ができません。
従って、「私」個人の「成果」を強調します。

しかし、第五水準のリーダーは「私たち」を強調します。
常に組織そのもの、すなわち「私たち」にフォーカスします。
決して「私」を優先させない謙虚さや控えめさと、
その反面の意思の強さや大胆さが第五水準のリーダーの特徴なのです。

これは、大義のある組織のミッションやビジョンの実現を目的として、
組織の成功のために「人に奉仕したい」というサーバントリーダーシップの精神と共通する考え方です。
偉大な組織を創るためには、リーダーは、最終的にサーバントリーダーとなっていくことが必要なのです。

更新日: 2011年 10月 21日

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