真田コラム

働かないアリにも意義がある?(2014年9月25日ニュースレター掲載分)

アリとキリギリスのお話のように、
アリと言えば「働き者」代表のようなイメージがあります。
しかし、北海道大学大学院の長谷川准教授によると、
いわゆる「働きアリ」の2割くらいは「働いている」
と見なせる行動をほとんどしないらしいのです。
厳しい生存競争にさらされているのに、
ずっと働かないアリがいることは、
社会生理学的には何か理由があるそうなのです。

アリはいつエサに出会うか分かりません。
突然、人間の子供がいたずらして巣穴を埋めることもあります。
アリの社会はいつ何が起こるかわかりません。
刻々と変わる状況に対して組織を維持するためには、
様々な状況に対応可能な一種の「余力」が必要なのだそうです。

考えてみれば人間社会も同じかもしれません。
ライフネット生命の出口会長もこう言っています。
「会社の中の2:6:2の上位2割がいなくなると、
残った8割の中で変化が生じて再び2:6:2が出来る。
下位2割が存在することが、むしろ正常であり、
彼らを何が何でも排除しようとする上司は
社会のしくみや構造を分かっていない」

集団を維持するために、
緊急時や不測の事態に対応するための余力を残すことは、
組織の知恵なのかもしれません。
生き物の集団には機械的な計算を超えた英知が
備わっているのかもしれません。

考えてみればムシには上司がいません。
指揮命令系統もありません。
それなのに、何故、ムシの組織は機能するのでしょう。
各個体のあいだに様々な個性があることが理由の一つだそうです。
性能のよい、よく仕事をする規格品の個体だけのコロニーがあれば
高い効率をあげることはできますが、様々な状況に対応できないのだそうです。

長谷川准教授は、能力の差ではなく個性の差が重要だと言うのです。
ムシの世界、なかなか奥が深いです。
私も人と組織のメカニズムを極める上で参考にしています。

 

更新日: 2014年 09月 29日

コラム一覧へ