ネッツトヨタ南国株式会社 取締役相談役 横田英毅 氏 講演レポート「顧客の感動を呼び起こす人間性尊重の組織づくり」

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大澤 千恵

B!

第2回サーバントリーダーシップフォーラム
~ サーバントハートが組織を強くする ~

ネッツトヨタ南国株式会社 取締役相談役
横田 英毅 氏

「顧客の感動を呼び起こす人間性尊重の組織づくり」


2012年10月22日に行われた「第二回サーバントリーダーシップフォーラム」。
参加者の皆さんにサーバントリーダーシップについて考えて頂くことを目的として、毎回 各界のリーダーをゲストとしてお招きし、ご講演頂いています。
ゲストの中には、日頃からサーバントリーダーシップを意識して実践していらっしゃる方もいれば、ご自身では「サーバントリーダーシップ」という言葉は意識していないものの、自然とサーバントリーダーシップを実践していらっしゃる方もいます。
今回は、ゲストの1人であるネッツトヨタ南国株式会社 取締役相談役 横田英毅 氏の講演レポートを掲載させて頂きます。

1.登壇者情報

横田 英毅氏

ネッツトヨタ南国株式会社 取締役相談役

1943年生まれ。 1969年宇治電化学工業(株)入社、その後四国車体工業(株)を経て、1980年トヨタビスタ高知(現ネッツトヨタ南国)発足と同時に、副社長就任。1987年同社代表取締役就任、2007年同社代表取締役会長に就任。2010年より現職。また高知県産業界の人材にまつわる問題解決にもあたるべく、「土佐経済同友会2000~2004年」などの代表幹事を歴任し、「人づくり」に関する様々な提言をおこなっている。

※部署・役職はインタビュー当時のものです

2.講演レポート

「顧客の感動を呼び起こす人間性尊重の組織づくり」

カーディーラーのビジネスチャンスを増やすためには、お客様との接触数を増やすことが必要で、現在ではお客様との関係を表すバロメーターは「来店客数」になります。

弊社は、2010年に104,000人の来店客数となり、これは一度お越し頂いたお客様を大事にしてきた結果です。これは、私たちが「お客様を大事にしろ」と言い続けたわけではなく、第一線の営業、サービスに関わる社員自らが「お客様を大事にしたい」という気持ちが内側から湧きあがり、お客様を大事にしてきた結果です。
私は、お客様が、時間のある時には「カーディーラーの所に行ってみよう」と思って下さるような、会社づくりを行ってきました。


リーマンショックの時に、オールトヨタとしての売上が大きく落ち込んだ中、弊社では売り上げが197%に伸びました。
この理由としては、
①第一線の営業担当者とそれをバックアップする若手社員が危機感を持ったこと。
②ファンになって下さったお客様が「厳しいでしょ?買ってあげようか?」とおっしゃって下さり、売り上げを伸ばすことができたのです。

顧客満足度調査の中で「上司がお客様の所へ挨拶に行ったか」という項目がありますが、この項目だけはオールトヨタの中で弊社が数値を下回っています。これは、ピラミッド型ではなく、逆ピラミッド型組織で、第一線に全て権限移譲していること、自分で全て解決できる社員を育成するという方針から出た結果です。

また「迅速、丁寧、きめ細かい、笑顔がいい」という評価を頂いていますが、それはやらされているからではなく、彼らの内側から動機が湧き上がっているからなのです。

支店長になった時、自分は「どういう会社を作りたいか?」「自分はどういうリーダーシップをとるのか?」と考えた際に、

『自分の正しいと信じる方向へメンバーを自主的に行動させ、結果として全体のパフォーマンスを最大化する影響力を持つ。優秀なリーダーとは、自らの使命・目的とメンバーの意思とを結び付けることができる。メンバーはあたかも自分たちが最初から望んでいたかのように自主的にリーダーの思う方向へ行動する。』

このようなリーダーになろうと思ったわけです。

形式的なリーダーではなく、本質的なリーダーである幹部社員の集団にしよう、そうすれば部下も育つに違いない、幹部社員にはマネージャーは黒子であると伝えてきました。

人材育成においては、働く動機を高めていくことが大切ですが、それには2つのパターンがあり、
①延々と動機づけをする(問題対処的)
②動機が内側から湧き上がるような環境をつくる(問題解決型)
ということです。

我々は至るところで対処ばかりをするような習慣が身についてしまっています。給与、賞与、昇給というような「頑張りなさいよ」と言う外側からの動機づけです。

人は外側から動機づけられて動いていると、いつの間にか内側から動機が湧き上がることがなくなってしまうのではないでしょうか?内側からの動機づけが100%湧いてくるというのが「やりがい」ではないでしょうか。

採用においても、知名度、安定性、好待遇という就職基準で入社した場合、3年で3割が退職してしまうと言います。これは、この就職基準が「やりがい」よりも劣ってしまうからではないでしょうか。
仕事に「やりがい」があるということを、口で説明するのではなく、学生自身が気づくように仕向けるのです。その結果、やりがいに気づいた学生が集まり、やりがいを感じられる人ばかりが働く集団になるわけです。

社員に「今日までに嬉しかったこと」というアンケートを取ったところ「「お客様に喜んで頂いたこと、感謝されたこと、誉めて頂けたこと」という回答でした。
つまり、会社にとって一番大事なのは社員ですから、その社員を大切にしようと思ったら、朝から晩までCSを追求したら良いんだ、お客様に良いサービスを提供することばかり考えれば、やりがいを感じられる。
つまり「利己を追求すれば利他に届く」「利他を続けるとやりがいを感じ、幸せを感じられる」というメカニズムがあると思いました。

また「自分の考え方を変えることで行動が変わってきたという実感がある。もっと成長できるという気持ちが生まれて、それがやりがいになる」と言う社員からの声があります。「変えられるものは自分と明日、変えられないものは他人と過去」であり、自分が自分を変えていくような組織づくりが必要だと思っています。

最後に、感動の話をしたいと思います。

今まで私は、感動は満足の先にある凄いものだと思っていましたが、満足の先にあるものは「大満足」であり「感動」ではない、ということがわかってきました。
反対側には不満や怒りがあり、損得に関係し、感動とは座標軸が違います。感動の反対は無関心だそうで、人を感動させるには人に関心を持つことが大事なのです。
満足を提供している人は苦しいですが、感動を提供している人は楽しんでいます。
満足を提供された人はそのことを忘れやすいですが、感動を提供された人はそのことを忘れないものです。口コミの良い噂は大抵感動なのです。
満足は期待の延長線上にあるので期待を上回らないとできません。
しかし感動は繰り返すことができ、効果的です。
満足は誰でも提供できますが、感動は感性の高い人でないと提供できません。
人は何から感動するかというと、驚き、尊敬、信頼、共感、感謝、親密、気配り、思いやり、4S(整理、整頓、清潔、清掃)などで、これらの事柄を一言でいうと「人間力」なのです。
満足は問題対処的で、感動は問題解決的なものです。


3.サーバントリーダーシップについて

今後、企業が継続的に発展していくために必要な考え方の1つとして、レアリゼではサーバントリーダーシップを推奨しています。
2004年にはNPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会を設立。レアリゼ代表の真田が理事長を務め、レアリゼが事務局を担っています。


当webサイトにはサーバントリーダーシップのまとめページを設置していますので、是非そちらもご活用ください。

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