
研修で終わらせない!学びを実践に変えるフォロー施策9選
1.はじめに:研修は「きっかけ」にすぎない
研修は人材育成の重要な手段ですが、それ自体が目的ではありません。本当に目指すべきは、研修で得た学びが現場の行動や成果につながること。
しかし現実には、「あのときはやる気になったけど、忙しくて実行できなかった」「研修の内容を活かす場面が見つからなかった」といった“研修やりっぱなし問題”が多くの組織で発生しています。
研修を「一過性のイベント」で終わらせないためには、事前準備と事後のフォロー設計が不可欠です。
この記事では、学びを職場での実践につなげるための具体的なフォロー施策を8つご紹介します。
すぐに取り入れられるものから、制度設計が必要なものまで幅広くご紹介しますので、自社に合った形で活用してみてください。
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2.何事も準備が大事
研修では開始時点で既に受講生に大きな違いがあります。それは問題意識の有無です。
もし、問題意識が無ければ、アンテナが立っていないので、せっかくの情報や知恵をキャッチすることできません。
研修開始時までにアンテナを立てることが重要です。
そのためには、事前課題が必要です。
研修テーマについて、自分は「今、どう認識しているか」「自分はどうしたいと思っているか」これを文字化するのです。
さらに、自分一人の意識だけでなく、他の受講者がどう考えているを知ることは極めて有効です。
他の人のアンテナを知ることで、自分のアンテナを立てることができます。
導入ポイント:フォームやGoogleスプレッドシートなどオンラインで提出できる仕組みにすると、運用負荷を軽減できます。
3.上司との「1on1振り返り」
研修後1週間以内に、上司と30分程度の1on1ミーティングを実施し、以下のような問いをもとに対話を行います。- 「どんな学びがあった?」
- 「職場で実践するとしたら、まず何から始められそう?」
- 「やってみる上での不安や課題はある?」
上司との対話によって、受講者の内省が深まり、「やってみる一歩」のハードルを下げることができます。
ポイント:事前に上司に「対話の観点」を共有し、評価ではなく支援スタンスで関わってもらうことが重要です。
4.行動宣言シートの活用
研修終了時に「明日からやってみること」を1~2つ書いてもらい、それを上司や同僚と共有します。紙で提出するだけでなく、デジタル上(社内チャット・共有フォルダ)に残すと継続的に参照されやすくなります。
期待される効果:
- 学んだことを“自分ごと”に引き寄せる内省が進む
- 宣言による心理的コミットメントが生まれる
- 上司や仲間からのフォローを受けやすくなる
応用:数週間後に「振り返りコメント」を添えて再提出する形にすると、実行の定着が進みます。
5.自己フォローシートの提出(セルフチェック方式)
受講者が自分自身で実践状況を振り返るフォーマットを用意し、研修後1〜2週間以内に記入して提出してもらう仕組みです。上司や人事部の関与は不要で、「記入して提出する」だけの運用が可能です。
例:シートに含める質問項目
- 研修で印象に残ったことは?
- 自分の業務にどのように活かしたか?(または活かす予定は?)
- 実行にあたってのハードルや工夫は?
- 次の1週間で試したいことは?
ねらい:
- 書くことで内省が深まり、実践の定着を促す
- 自分の成長状況を自分でモニタリングする意識がつく
- 人事部としても状況把握や施策改善の材料にしやすい
導入ポイント:フォームやGoogleスプレッドシートなどオンラインで提出できる仕組みにすると、運用負荷を軽減できます。
6.成果メモ提出(5分で書ける習慣づけ)
研修後、1週間に1回、1〜2分で書ける“簡易メモ”を提出してもらう方法です。たとえば「今週、研修内容を活かしてできたこと」「やろうと思って忘れていたこと」「来週に向けての小さなアクション」など。
形式例:
- 社内チャットで毎週リマインド投稿 → 各自が1〜2行で返信
- Googleフォームで“今週の気づき”を週次記入
ポイント:
- 極力手間をかけずに“思い出す機会”をつくる
- 提出が義務ではなく“声がけ程度”でも効果あり
- 人事側の回収・管理の負担も軽い
このような「振り返りの習慣づけ」は、実行の持続と内省の質向上につながります。
7.ピア・サポート(相互支援)の仕組み
受講者同士で「学びの実践進捗」を共有するペアやグループをつくり、週1回程度のチェックイン(チャットや5分の口頭共有など)を行います。
ねらい:
- 「見られている」「誰かと一緒」という感覚が行動を後押しする
- 他者の取り組みからヒントを得られる - 実行できなかったことへの“リセット”機会になる
導入しやすい形:
- TeamsやSlackの専用チャンネルでの週次投稿
- 朝会や夕礼での1人ひとこと共有
8.アクションラーニングの導入
学びを現場課題と結びつけるには、アクションラーニング(AL)が効果的です。研修で得た視点や知識を活かして、実際の業務課題にチームで取り組む形式です。
進め方例:
- メンバー4〜6人の小グループを編成
- 各自の業務課題を持ち寄り、1つをテーマに設定
- 定期的に集まり、問いかけ・対話・実践・振り返りを繰り返す
ポイント:
- ファシリテーター役を立てると進行がスムーズ
- テーマは「すぐに着手できる現場の課題」が望ましい
9.社内共有会・発表会の実施
研修後に「学んだこと・実践したこと」を、他部署やチームに共有する場を設けます。プレゼン形式でも、対話形式の座談会でもOKです。
メリット:
- 学びを整理・言語化するプロセスで理解が深まる
- 周囲に学びを波及させ、組織的な学習風土を醸成できる
- 「活かしている人がいる」ことが可視化されることで刺激になる
注意点:評価会にならないよう、「ナイスチャレンジ」を承認する空気づくりが大切です。
10.フォローアップ研修・チェックイン面談
初回の研修から1〜3ヶ月後に「フォローアップの場」を設けることで、学びの定着とモチベーションの再点火が期待できます。
形式例:
- 集合型のフォロー研修(他者の実践共有、困りごとの共有と解決)
- 個別のフォロー面談(実践状況の確認、サポートの可否確認)
効果的な問い例:
- 「最初の頃と比べて、どんな変化があった?」
- 「まだうまくいかない部分は何?」
- 「次にトライしてみたいことは?」
11.おわりに:学びを「現場の文化」に変える
どんなに良質な研修を実施しても、それが職場で活かされなければ意味がありません。学びを成果につなげるには、“場をつくる”ことと“関わりを設計する”ことが重要です。
本記事で紹介したフォロー施策は、どれも大掛かりな仕組みを必要としないものばかりです。むしろ、「できる範囲で小さく始め、続けること」が実行のポイントです。
「学びを学びのままで終わらせない」。
そんな職場文化を育む第一歩として、ぜひご自身の組織に合ったフォローの仕組みを取り入れてみてください。

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