1on1ミーティング 失敗例と効果的な進め方を解説

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1on1ミーティング 失敗例と効果的な進め方を解説

1on1ミーティング ~失敗例と効果的な進め方を解説~ 


1.1on1ミーティングとは何か

1on1ミーティング(ワンオンワン)とは、上司と部下が1対1で定期的に行う対話のことを指します。主に部下の成長支援やメンタルケア、信頼関係の構築などを目的として行われ、業務の進捗確認とは異なり、「部下の話を聴くこと」に主眼が置かれます。

アメリカの企業をはじめ、日本でもヤフー株式会社などが制度として取り入れたことをきっかけに広まりました。近年は、マネジメントの一環として導入する企業が増加しており、職場のコミュニケーション改善や早期離職の防止などに効果があるとされています。

ただし、制度として1on1を導入したものの、うまく機能していないケースも少なくありません。「部下が何も話してくれない」「1on1がただの業務報告になってしまう」など、実施にあたっての課題感も多く聞かれます。


2.なぜ今、1on1が注目されているのか

1on1が注目される背景には、働き方や価値観の多様化、リモートワークの普及、そして「心理的安全性」への注目など、いくつかの時代的な要因があります。

まず、価値観の多様化が進み、従来の画一的なマネジメントが通用しなくなってきました。「言われたことをやる」のではなく、「自分らしく働きたい」「納得感を持って働きたい」と考える人が増えた今、上司が一方的に指示を出す関係性だけでは組織の力を引き出せません。

また、リモートワークやハイブリッドワークが浸透したことで、従来のような偶発的な雑談や声かけの機会が減り、意図的に「対話の時間」を確保する必要性が高まっています。

さらに、Googleが実施した「プロジェクト・アリストテレス」によって、チームの成果にもっとも影響する要素が「心理的安全性」であることが明らかになりました。1on1は、上司と部下が安心して本音を話せる関係性を築くための有効な手段として注目されています。


3.1on1の主な目的

1on1にはさまざまな目的がありますが、大きく分けると以下の4つが代表的です。

(1)成長支援・キャリア支援
部下の目標設定やキャリアの方向性について一緒に考える機会になります。「何ができるようになりたいか」「どんな仕事にチャレンジしたいか」といった話を通じて、個人の成長意欲を引き出します。

(2)信頼関係の構築
日常的に業務指示を出すだけでは信頼は育ちにくいもの。あえて仕事の枠を超えた話題にも触れることで、「この人には相談してもいい」と感じられる関係性が生まれます。

(3)モチベーションの維持と変化の把握
仕事に対するやりがいや不安、負荷感などを早期にキャッチアップすることができます。定期的に心の声を聞くことが、離職や燃え尽きの予防にもつながります。

(4)問題やトラブルの早期発見
些細な違和感や悩みを話すことで、大きな問題になる前に対処できるケースも少なくありません。部下の「サイン」に気づけるきっかけとしても有効です。


4.よくある失敗例とその対策

うまく機能していない1on1には、いくつかの共通点があります。以下はよくある失敗例とその対策です。

■ 1on1が業務報告の場になってしまう
進捗確認やタスクの洗い出しに終始してしまうと、1on1本来の価値が失われます。
→業務の話は冒頭5分に限定し、「今日は最近どう?」と対話を重視する姿勢を持つとよいでしょう。

■ 上司が主導しすぎる
アドバイスや指導が中心になると、部下は「聞き役」に回りがちになります。
→「今日はあなたが話したいことから始めよう」と主導権を渡してみましょう。

■ 継続性がない
忙しさを理由に中断が続くと、1on1の信頼性が下がります。
→最初からカレンダーに定例で押さえておく、上司自身が予定を優先して守る姿勢が大切です。


5.効果的な1on1を実現するポイント

効果的に1on1を実施するためには、以下のような工夫が求められます。

■ 上司が「話す」より「聴く」
1on1の主役はあくまで部下です。上司が一方的に話しすぎると、ただの指導や面談になってしまいます。沈黙を恐れず、部下の話に耳を傾ける姿勢が信頼を築きます。

■ 定期的に実施する
単発で終わると効果は限定的です。「月1回30分」など頻度と時間を決めておくことで、対話の習慣が生まれます。最初はぎこちなくても、続けることで関係性が変わってきます。

■ アジェンダを共有しておく
話したいテーマを事前に共有することで、部下も準備がしやすくなります。特にキャリアや感情に関するテーマは、即興では話しづらいこともあるため、配慮が重要です。

■ 記録と振り返りを残す
1on1の内容を簡単に記録しておくことで、次回にスムーズにつながります。「前回こう言っていたね」といった一言が、関心や信頼の表れになります。



6.まとめ:1on1は「制度」ではなく「関係性」

1on1は、単なる「制度」ではなく、上司と部下の関係性を育む大切な時間です。何を話すかよりも、「対話する文化があるか」「話しても大丈夫と思える関係があるか」が、本質的な成功の鍵です。
完璧な進め方を追い求めるよりも、まずは対話を重ねること。1回1回の積み重ねが、やがて部下のエンゲージメントやチームの成果につながっていきます。

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