ホッピービバレッジ株式会社 代表取締役社長 石渡 美奈 氏 × 株式会社アンゼン・パックス 代表取締役社長 尾関 勇 氏 講演レポート「人を大切にする経営」

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大澤 千恵

B!

第2回サーバントリーダーシップフォーラム
~ サーバントハートが組織を強くする ~

ホッピービバレッジ株式会社 代表取締役社長
石渡 美奈 氏
×
株式会社アンゼン・パックス 代表取締役社長
尾関 勇 氏

「人を大切にする経営」


2012年10月22日に行われた「第二回サーバントリーダーシップフォーラム」。
参加者の皆さんにサーバントリーダーシップについて考えて頂くことを目的として、毎回 各界のリーダーをゲストとしてお招きし、ご講演頂いています。
ゲストの中には、日頃からサーバントリーダーシップを意識して実践していらっしゃる方もいれば、ご自身では「サーバントリーダーシップ」という言葉は意識していないものの、自然とサーバントリーダーシップを実践していらっしゃる方もいます。
今回は、ホッピービバレッジ株式会社 代表取締役社長 石渡 美奈 氏、株式会社アンゼン・パックス 代表取締役社長 尾関 勇 氏によるセッションについて、掲載させて頂きます。

1.登壇者情報

石渡 美奈氏

ホッピービバレッジ株式会社 代表取締役社長

1968年東京都生まれ。 立教大学卒業後、日清製粉(現・日清製粉グループ本社)に入社。人事部に所属し、93年に退社。 その後、広告代理店を経て、97年に、祖父が創業したホッピービバレッジ(旧・コクカ飲料)に入社。広報宣伝、副社長を経て、2010年4月6日、創業100周年の年に3代目社長に就任。早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了。経営学修士(MBA)。

※部署・役職はインタビュー当時のものです

尾関 勇氏

株式会社アンゼン・パックス 代表取締役社長

1966年東京都生まれ。 立教大学卒業後、広告代理店の株式会社I&S(現I&S BBDO)入社。営業局およびマーケティング局を経験。1993年祖父が創業した株式会社アンゼン・パックスに入社。営業、製造、そして別会社である菓子のOEM企画会社を経験。その後専務取締役を経て、2010年から現職。男尊女卑で離職率が高かった社内の雰囲気を刷新。ジェンダーフリーをテーマに、育児休業だけでなく育児短時間勤務や65歳定年制などをいち早く採用した。 現在、東京と米国シアトルの2拠点で活動している。社内では老若男女一切分け隔てなく仕事をさせるのが信条。

※部署・役職はインタビュー当時のものです

2.講演レポート

「人を大切にする経営」

石渡: 創業100周年を迎えた2010年に3代目社長を引き継ぎました。父から次のバトンは貴方に渡すからと言われた時、「これからは貴方の想いを共に実現する社員を育てなさい」と言われ、そこから組織を根本から変えることに力を入れました。

売り上げを伸ばすことができた要因に、外的要因としての焼酎人気、健康志向、昭和回帰等がありますが、中小企業にとって売り上げに大きく作用するのは、むしろ内的要因であると思っています。つまり、人材や組織に要因があると分析しております。

仕掛けや仕組みはいくらでも教えられますが、企業文化(カルチャー)は真似ができない、カルチャーの礎は人なので、人を育てるということは他社が真似できない企業文化を創るということになります。

尾関: 創業80年になる赤坂のお菓子パッケージ会社の3代目社長として引き継ぎました。私が入社した頃は、悪い意味で自分勝手な「個人商店」でしたが、1998年頃人事権を渡されてから組織改革を始めてきました。
父とは人事の考え方で色々衝突してきました。例えば、父は「女性営業は良くできるが、長続きしないから問題だ」と言う持論でしたが、男性でも女性でも能力のある社員を活かせない会社の方が、むしろ会社の存在意義がない、と私は思っています。
できる営業社員=できる管理職と言う考えも父と衝突した考えで、管理スキルと営業スキルは異なると思っています。
フェアな判断は人間だから難しいですが、できる管理職はフェアにものごとを見ていると思いますし、そのグループの人達の効率が最大化するのではないかと思います。

石渡: 弊社の人材教育では、「教育と共育」両方を導入しています。内定~入社3年目までは、教え育てる「教育」を行います。徹底したティーチングとコーチングです。
「貴方たちの個性はいらない」とまで言っています。学生のものさしで社会人の判断をしても何の役にも立ちません。
入社4年目以降、共に育つ「共育」という考え方です。教える側が成長しないと教えられません。知識の切り売りをしても人は育ちません。結局は、「企業は人なり、組織は人なり」と言うことです。
トップの質が社員の質を決め、それが組織の質、社会の質、国家の質に繋がっているわけで、社員に幸せな人生を送ってもらうためにも、トップが常に質を磨き続けなければいけない、と自分に課しています。

人も組織も「守破離」を逸脱して成長はあり得ないと言ってきたのですが、何を守れば良いかわからない若手社員にはうまく行きませんでした。彼らには、まず何をどのように守るのかを教えなければなりません。
彼らは「社会人としての実践力(=活きる人間力)」を身につける方法を知らないのです。そこで、弊社では「新版守破離」(Pre 守)を作り、リーダーである私たちが学び方、教わり方を教えるわけです。
教わる前に一つ大切なことは「無知の知」です。自分は何も知らないというポジションにいること、何か知っていると思ったら自分の可能性に限界をつけてしまう、「無知の知」は自らの可能性を無限に広げるための考え方なのです。

私は、毎年2、3月頃に入社前の新卒社員の親御様の所へご挨拶に伺います。ほとんどが「中小企業で大丈夫?」「女性社長で大丈夫?」というような不安感を持っておられるのですが、人材教育の話をして最後には「直接話を聞けて良かった」「石渡さん、これからは貴方がうちの子を育ててください」と言われるんですよね。1年で1番背筋が伸びる瞬間です。弊社を信じて来てくれる純粋無垢な新入社員を裏切りたくないという思いが、社員基礎教育に力を入れて行ったというプロセスですね。

尾関: 組織のリーダーが各自の持ち味の違いと柔軟さを見極め、個人の持ち味がバランスよく配置されるように仕組むことがリーダーの役目ではないかと思います。
私は、会社より個人の生活が大切で、個人の生活がちゃんとしていなければ、会社の仕事に100%力を発揮することはできないと思っています。人生の各シーンで働き方、社会との接し方は異なりますので、会社もできるだけそれに合わせて行く必要があり、それが強い社員と会社を作ることだと思っています。
社員の持ち味を活かすことに心血を注ぎ、社員が力を最大限に発揮できるように、私自身がスポイルされるようなことをしてはならないと思っています。

石渡: 本田宗一郎氏の「真理に徹する」を行動指針としています。私が追及する真理は「お客様のため」であり、それを現場で汗水流して実現しているのが社員たちです。私がやらなければならないのは、その社員が安心して過ごせる安全な職場環境づくりに、徹することではないかと感じています。

真理の追究は、ときに社員に誤解を招くこともありますが、決してぶれてはならず、私の私的欲望、我欲は徹底的に排除すべきと思っています。
人を育てるのはつらくて大変ですが、やりがいがあります。金井先生の言葉に「人を育てていると思うから頭にくる、たまたまご縁があって、その人の成長に関わらせて頂いているんだ、という姿勢が人を育てる者としての正しい考え方である」というのがあります。まだまだ我欲を捨てきれない未熟者の3代目ですが、有難いバトンをお預かりしていることに感謝し、謙虚な姿勢で携わって行きたいと思っております。


3.サーバントリーダーシップについて

今後、企業が継続的に発展していくために必要な考え方の1つとして、レアリゼではサーバントリーダーシップを推奨しています。
2004年にはNPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会を設立。レアリゼ代表の真田が理事長を務め、レアリゼが事務局を担っています。


当webサイトにはサーバントリーダーシップのまとめページを設置していますので、是非そちらもご活用ください。

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