L.E.T. (Leader Effectiveness Training)の専門家 辻 達諭氏と弊社真田との対談
L.E.T. (Leader Effectiveness Training)の専門家辻 達諭(つじ ...
大澤 千恵
UTグループ株式会社 経営改革部門 人事ユニット 統括部長 辰口健介氏と
弊社プランナー李との対談
「幹部候補」に限定した新卒採用・育成プログラムについて
コンサルティングファーム、情報サービス関連企業を経て、2018年にUTグループ株式会社に入社。グループ2万人を超える派遣社員
向け人事制度の設計導入や、社員一人ひとりの意欲や強みをベースにした人材マネジメントサイクルの開発等を担当し、2020年より
現職に従事。
※部署・役職はインタビュー当時のものです
李:御社は「これからのはたらき方のプラットフォームになる」という2030年に向けた長期ビジョンを推進するため、募集対象を「幹部候補生」に絞った新卒採用・育成プログラムを2018年度に導入されました。
レアリゼはその導入当初から、育成のためのフォロー研修などを担当させていただいています。
大変意欲的なプログラムだと思うのですが、これを始めるに至られた経緯や背景についてお聞かせいただけますか。
辰口:コンセプトとしては、成長意欲の高い新人社員を幹部候補生として受け入れ、入社から3年間の期間限定で、当社の部長・課長といったマネジメント職を担えるような人材を育成していくことを目指す採用・育成パッケージです。
通常の新卒採用は行わず、未来のUTを切り拓くような意欲や熱意を持った人材に絞って採用しており、2018年3月卒の年次からスタートしました。
李:もともとこの構想は、代表取締役社長 兼 CEOである若山陽一様の強いご意志の下、社長直轄の形でスタートしたとお聞きしました。
辰口:はい。若山は26歳のときに当社を創業しているんですね。まさにゼロからの会社立ち上げで、当初は営業の最前線の仕事はもちろん、経理や財務などバックオフィス業務もすべて自分でこなしていました。
そうして創業から3年間、経営者としてビジネスを実践する中で、いろいろな苦労を経験しながらも、自分自身が大きく成長できたという実感があったと語っています。
つまり、たとえ年齢は若くても、3年間の過ごし方次第で、企業経営やビジネスのかなりの部分を学べますし、人間としても成長できるわけです。
だとすれば、本当に意欲のある人に機会を与えて、自分のように成長してほしい……。
そんな若山自身の成功体験に裏打ちされた熱い想いが、このプログラムの原点になっています。
李:なるほど。最近は、次世代マネジメント層を見据えた採用や育成に力を入れている企業は多いのですが、これほどまでに経営トップの方が深くコミットされている例は極めて希です。大変素晴らしいと思います。
辰口:ありがとうございます。
振り返ると、弊社にとっては2016年が「第二創業」の時期になっています。
主力事業である製造業向け派遣に加えて、エンジニア派遣や海外技能実習生の斡旋、さらに大手製造業とアライアンスを組んで合併会社を立ち上げるなど、事業領域が急激に拡大していくなかで、企業として大きな転換期に入っていたのです。
弊社は「これからのはたらき方のプラットフォームになる」という長期ビジョンを掲げていますが、その原点になる「キャリアプラットフォーム」という概念を考え始めたのも2016年でした。
もちろんスキルや専門知識を持った人材の中途採用も増やしてきたのですが、それだけでは足りないと感じていました。
当社のビジョンや理念に共感し、次の時代のUTを築いてくれるような若い人材を発掘して、成長環境に身を置いてもらい、近い将来には実際にそうした重要な役割を担えるような幹部社員になってほしい。
そのような考えから、2018年というタイミングでこのプログラムを始動させました。
UTグループ 幹部候補採用について
李:幹部候補の育成にあたって、OJTに力を入れられています。
実務を体験させて仕事を覚えてもらうという意味のOJTではなく、社員一人ひとりをどんな部署に配属させてどんな仕事を任せるのか、上長には誰を置いて、どのような目標を設定するのかなど、大変きめ細かい設計をなさっています。
その上で、内省機会の提供と能力開発の場としてのOff-JTも重視されており、その部分をレアリゼが総合的に担当させていただいています。
実際に私どもにご依頼されて、いかがだったでしょうか。率直な感想をお聞かせください。
辰口:私たちの取り組みに真摯に寄り添っていただいているというのが実感です。
一般に新人向け研修はパッケージ化されていることが多くて、基本の型を崩すと教育効果が薄まってしまう恐れがあると思います。
しかしレアリゼさんの場合、弊社の狙いや考えに合わせて研修内容をカスタマイズしたり、コンテンツを修正するなど、受講者の成長度合いを継続的に見ながら柔軟に対応してくださっています。
我々としても、新卒採用で幹部候補生を育成していくのは大きな挑戦であり、当初は手探りの部分もありました。
柔軟に寄り添ってくれる伴走者のようなパートナーを求めていましたので、レアリゼさんの存在は大変有り難いです。
李:ありがとうございます。
これまで多数の会社様の研修を手がけてきましたが、同じような課題感を持っているA社・B社・C社でも、実際に研修を始めてみると、企業風土も違えば、社員に求める能力も違います。
一人ひとりの受講者も、期待通りに成長してくれるとは限りません。
同じ研修内容では、なかなか成果につながらないのですね。
私どもとしても、柔軟性は常に意識しているところです。
しかも一般的な新人研修ではなく、幹部候補の育成となれば、受講者ご本人たちも強いプレッシャーを感じながら日々過ごしていくことになります。
メンタル面も含めたきめ細かいフォローアップを心がけています。
受講者のみなさんは、研修を受けてどんな反応や変化がありましたか。
辰口:いろいろありますが、まずビジネスのプロフェッショナルであるレアリゼさんに、社外の視点で指導していただくことで、自分を客観視する契機になっているのは大きいですね。
世の中のビジネスパーソンの中で、自分の能力や課題感がどんな水準にあるのか、気づきを得ていると思います。
もう一つの成果として、研修を通じて同期としての深いつながりが生まれていることが挙げられます。
同期といっても、幹部候補としてお互いライバルでもあり、単に飲み会のような形で集まっても深い交流をするのはなかなか難しい。
フォロー研修の場で定期的に顔を合わせて、仕事に対する自分の意見を述べたり、一歩踏み込んだフィードバックをしたりすることで、切磋琢磨するというか、本人たちの大きな成長機会になっているのを感じます。
李:何か印象に残っているエピソードがあればお聞かせください。
辰口:研修を経て、他の幹部候補メンバーに対する言葉のかけ方や振る舞い方が変わっていくのが印象的でした。
頭の回転が速くて、誰よりも先に自分の答えが言えるような社員は、もちろん素晴らしいのですが、発言が“上から目線”になってしまいがちですよね。
例えばフォロー研修の中で、360度サーベイで先輩や同僚からどのように評価されたのか、結果を共有する機会がありました。
それまでは「そうそう! お前は、そういうところがあるよな!」などと、やや威張り口調だったある社員が、あるときから「そうだね。でも自分がそういう評価をされているのはなぜだと思う?」と、優しく質問を投げかけるようになっていたのですね。
なるほど、このように成長していくのだなと、私としても新鮮な発見でした。
自分の意見でメンバーを引っ張っていく姿勢も大事ですが、あえて意見を言わず、他のメンバーたちの発言を促して、それを取りまとめながらアウトプットを導く姿勢も、リーダーとして大切ですので。
李:そうですね。みなさん、もともと優秀な方々ですから、研修を通じて、自分がやりたいことを実現するだけでなく、他の人がやりたいことを形にする大事さを学んでいただけたと思います。
辰口:それからもう一つ。
若手社員は、自分が評価されない原因を「知識不足」や「経験不足」だと思い込んでしまうことがよくあります。
でも、仮に上司に「そんなことも知らないのか?」と言われたとしても、知識不足が駄目なのではなく、相手の立場に立つことができていないことが根本の問題だったりしますよね。
相手の立場に立てたら、事前に調べておくことができるかもしれない。
あるいは質問に答えられなくても「知らなかったです」「調べてないです」で終わらず、なぜ上司はその質問をしたのか、意図や目的にしっかりと目を向ける。
上司としても、知識の有無を問いたいわけではなく、目的達成のために必要な情報だから聞いているわけです。
「どこで調べられますか?」「どういう調べ方が効果的ですか?」などと逆に問いかければ、上司も喜んでそれに答えてくれるでしょう。
闇雲に情報だけを調べるだけでは、いつまで経って目的に沿った対応ができません。
李:たしかに「Why」「What」ではなく「How」に目が向かってしまうというか、目的について考えるよりも、目先の質問に答えることだけに注力してしまうケースはよくありますね。
辰口:はい。李さんが、研修を通じて「目的・目標」の重要さを伝えてくださっているので、メンバーたちも徐々に理解できていると思います。
李:そうですね。目的・目標はビジネスの場でよく使われる“耳たこ”な言葉ではあるのですが、本質をつかむのが難しい面はあります。私も研修で自然に理解していただけるよう、意識しているところです。
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