
第1回サーバントリーダーシップフォーラム
~ この国にはリーダーシップが足りない!! ~
コマツ(株式会社小松製作所)常務執行役員
日置 正克 氏
「グローバルリーダーに求められるもの」
2011年10月26日に行われた「第一回サーバントリーダーシップフォーラム」。
参加者の皆さんにサーバントリーダーシップについて考えて頂くことを目的として、毎回 各界のリーダーをゲストとしてお招きし、ご講演頂いています。
ゲストの中には、日頃からサーバントリーダーシップを意識して実践していらっしゃる方もいれば、ご自身では「サーバントリーダーシップ」という言葉は意識していないものの、自然とサーバントリーダーシップを実践していらっしゃる方もいます。
今回は、ゲストの1人であるコマツ(株式会社小松製作所)常務執行役員 日置 正克氏の講演レポートを掲載させて頂きます。
1.登壇者情報

日置 正克氏
コマツ(株式会社小松製作所)常務執行役員
1975年3月東京大学法学部卒業、75年4月小松製作所入社。75年7月粟津工場総務部勤労課、79年6月人事部人事課、82年7月人事部教育課(留学 カミンズ社)、86年2月英国コマツ株式会社、90年10月コマツドレッサーカンパニー 人事ディレクター、97年1月経営企画室コーポレートカルチャー部長、02年4月広報・IR部長、03年4月人事部長、08年4月より現職。他にコンプライアンス、法務、人事・教育、安全・健康管理を管掌。※部署・役職はインタビュー当時のものです
2.講演レポート
「グローバルリーダーに求められるもの」
コマツのグローバル化は、60年代から先陣が先だって積み上げてくれたおかげです。
今現在、450人前後の海外駐在員がおり、社員の55%が海外の人であり、グローバリゼーションは日本人だけで行っているものではありません。
コマツの離職率は海外の現場も含め、0.7%です。
私達の考え方としては、優秀な人をヘッドハンティングするのではなく、会社に長くいてもらう前提で、会社の中で人材を育成していくという考え方なのです。
まず、それぞれの地域の歴史や文化を理解することに重きを置いています。
そのローカルの集まりがグローバル化であり、経営は現地化を推進、モノ作りはコマツ流を現地に伝えていくということです。
成功の鍵は、信頼して任せられる海外の社員をどれだけ増やせるか、ということで、そのために重要な一つは、信頼です。日本はホウレンソウ(報連相)が信頼のもとですが、海外はその人自身への信頼が当たり前なのです。
また、情報の共有、日本人と日本人以外の人を分けないこと。例えば、会議を日本人だけで行わない、「味噌っかすにしない」というのがキーワードです。
海外の人たちを、日本人が専門性で支えるという体制を良しとしています。
モノ作りの会社ははチームワークなので、チームあっての個人の力となります。ですので、リーダーも大事ですが、フォロワーも非常に大事なのです。
重要視しているのは、ヘッドハンティングをしない代わりに、リテンションが大事になるということです。そこには「居甲斐=コマツにいてよかった」の創出を目指しております。居甲斐のポイントは、働きやすい職場・機会を創ること・労働条件の3つです。
我が社では、優秀な社員よりも地道にコツコツ仕事をしてくれた人に対して、表彰をしていこうとしています。
コマツの人事の強みは、長期雇用・年功序列・労働組合の日本型雇用システムや、企業内教育・集団的意思決定の重視などが挙げられます。
育成としては、プロ育成、社員の自立自走、社員の主体的なキャリア形成を、会社がサポートする、という形を取ります。
特に機能別の人材育成の形式をとっており、専門性を深めることを良しとしています。
グローバル人材として大事なのは、英語能力ではなく、専門性だと認識していまし、専門性があれば、英語はついてくるものです。
そして人材育成について、今一番力を入れているのは海外の人たちの教育です。
特に、コマツに受け継がれている価値観、心構え、行動様式を明示したものを「コマツウェイ」として、それを浸透させるようにしています。
現在、管理職向けのビジネスリーダー選抜研修には、毎年中国人が2名参加、今年はロシア人も参加しています。
コマツの特徴として、トップは必ずコマツウェイの説明をし、トップが率先垂範することで、社員が安心して取り組めるようにしていくことです。コマツウェイの例として、「モノ作りに興味を持ち、仕事を楽しくやろう」「汗をかけ。汗をかかなければ知恵は出ない」「失敗をあえて責めない」などがあり、私も心がけていることです。
私達のグローバリゼーションを担っているのは、普通の人なのです。普通の人がちょっと努力をした人だと思います。そうした人たちの頑張りが合って、その総合体として成り立っているのです。
これからも、グローバル化といってスーパーマンを作るつもりはありません。
ここで長く働いてもらうためには、ということを考えること、海外の人とも力を合わせてどのようにチームワークを発揮していくか、ということになります。
そして、コマツの「らしさ」を大事にしたいと思っております。
3.サーバントリーダーシップについて
今後、企業が継続的に発展していくために必要な考え方の1つとして、レアリゼではサーバントリーダーシップを推奨しています。
2004年にはNPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会を設立。レアリゼ代表の真田が理事長を務め、レアリゼが事務局を担っています。

当webサイトにはサーバントリーダーシップのまとめページを設置していますので、是非そちらもご活用ください。