ワールド・カフェとは?

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ワールド・カフェとは?

ワールド・カフェとは?


1.ワールド・カフェとは?

全員参加型の大規模な対話手法であるホールシステム・アプローチの一つです。1995年に米国で誕生しました。
議論を戦わせるディべートとは異なり、立場や意見の違いを超え、オープンに話し、オープンに聞くダイアログ(対話)に基づいています。

参加者はテーブルクロスの代わりに敷いた模造紙に自由に文字や絵を描きながら、肩に力を入れずに、事前に示される問いにフォーカスした話し合いを行います。
話し合いのプロセスで相互理解や共通認識が醸成され、新しいアイデアも生まれてくることに特徴があります。 


2.ワールド・カフェの標準的な流れ

テーブルに4人から5人ずつ座り、メンバーを変えながら進めます。
テーブルには模造紙を置いて参加者が自由に文字や絵を描きながら、カフェのようにリラックスした環境で、事前に提示された質問に集中して話し合います。
カフェ・ホストが進行役になり、三つのラウンドを行い、最後に対話全体を振り返ります。所要時間は1時間半から3時間です。


第1ラウンド

テーブルごとの話し合い

4人ずつテーブルに座って、テーマ(問い)について話し合う。

席替え

各テーブルに1人だけのテーブル・ホストを残して、他のメンバーは『旅人』として他のテーブルに移動する。

第2ラウンド

テーブルごとの話し合い

新しい組み合わせで話し合いを続ける。

席替え

『旅人』が最初のテーブルに戻る。

第3ラウンド

テーブルごとの話し合い

『旅人』が最初のテーブルに戻り、旅先で得たアイディアを紹介し合いながら話し合いを続ける。

全員での
振り返り

振り返り

カフェ・ホストがファシリテーターとなって全体の話し合いを行う。

3.ワールド・カフェにおける対話のテーマ

企業であれば、イノベーション創出のための社員の意識改革、組織風土改革、プロジェクトメンバーのチームビルディング、新規事業の創出、新ブランドの構築と浸透、合併後のチームビルディング、ビジョン構築、間接部門のコスト削減、ダイバーシティ、商品開発など、ワールド・カフェのテーマとして取り上げられるものは様々です。

自治体など地域では、市民参加による自治体の総合計画立案、地域活性化、活力ある高齢社会の実現、都市と農村の連携、都市ブランドの共創、地域包括ケア、健康づくりなどのテーマが取り上げられています。病院ならば、チーム医療の実現、大学はキャリア教育・学内コミュニケーションの活性化・教職協働に役立てた例があります。

2017年以降は、企業であれば、組織風土改革や関係構築のような成果の見えにくいものだけでなく、働き方改革などの経営課題の解決、新規事業の育成、長期ビジョンの策定、企業合併・連携など、自治体では、地域再生のためのビジョン構築、人口減対策などの中長期プロジェクトにおいて、ワールド・カフェがピンポイントで使われることが多くなってくると考えています。 


4.ワールド・カフェを採用している企業や自治体の取り組み内容

日立グループ、富士通アプリケーションズ株式会社、さくらインターネット株式会社など、自治体では、神戸市役所、塩尻市役所、世田谷区役所、宮代町役場などがワールド・カフェ方式を採用している。(導入している企業、自治体は、把握できないほどの数になっております。)

日立グループのほとんどの企業にとって、ダイバーシティはイノベーションの源泉であり、グローバルに成長していく上での経営の重要なテーマになりました。また、ビジネスのグローバル化に伴うステークホルダー、顧客ニーズの多様化に対応するために、異なる価値観・感性・経験を有する人材の活用(ダイバーシティ・マネジメント)による、組織の問題解決力、創造性、柔軟性の向上の必要性が高まってきました。

そこで、多様な人材が多様な価値を生み出せる仕組みの確立と風土の醸成として、ダイバーシティ推進で重要になる『対話』の風土を職場に創っていくためにワールドカフェを導入することになりました。

富士通アプリケーションズは、重点施策として「イノベーション技術を活用する新規ビジネスの創出」掲げています。企画チームでは、重点施策への取り組みの一環として2016年7月23日午後の時間を使って、ワールド・カフェを開催することにしました。目的は以下の4点でした。

①組織の風通しを良くする。
②ビジネス感覚を強化する
③新ビジネスのアイディアをできるだけ多く出す。
④日々の仕事において具体的な行動の変化を起こす。

さくらインターネット株式会社におけるワールド・カフェ実施の最大の目的は、新ブランドを社内に浸透させることでした。
そのためには、一方的に押しつけたり、ウェブ上に掲載するだけで終わるのではなく、自社のブランドについて社員が語り合ううちに自然と理解が深まり、知らず知らずのうちに普段の行動や判断の基準にブランドを使っているという状態にしたい、と考えました。
また、全社員でブランドを作ったという一体感を醸成したいと、部門や役職を超えた多様なメンバーで話し合いができるようにグループ分け等に配慮しました。
ブランド委員会で固めたコンセプトもとに全社員で話し合い、そこで得た意見や気づきをブランド委員会で昇華するというサイクルを回すことで、統一感と一体感につなげたいと考えました。 


5.ワールド・カフェを開催するには

他人の意見は否定しないなどの原則や基本哲学を理解し、目的の明確化や意見を引き出す適切な問いの設定など事前準備を周到に行えば、誰でも開催できます。
人数は4人×4テーブルの16人から実施できます。(無理をすれば6人から可能です) 500人から700人規模のワールド・カフェもかなり行われるようになってきました。
私はこれまでファシリテーター養成講座で、公開講座だけで、約1000人のカフェ・ホストを育成しました。


大川 恒

HRT 代表

1961年生まれ.。早稲田大学第一文学部卒。シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。
現在、HRTでホールシステム・アプローチ(ワールド・カフェ、OST、AI、フューチャーサーチなど)のファシリテーター養成講座を開催している。
また、ホールシステム・アプローチを用いた『学習する組織』をつくる組織開発コンサルティングを行っている。地域コミュニティの構築支援および、その地域コミュニティを醸成する<越境型リーダー>を育成、支援する活動を展開中。著書に「ワールド・カフェをやろう!」「ホールシステム・アプローチ」(ともに日本経済新聞出版社刊)「俊敏な組織をつくる10のステップ」(ビジネス社)がある。
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