
第3回サーバントリーダーシップフォーラム
~ 『いい組織』を創るリーダーシップとは ~
法政大学 大学院政策創造研究科 教授
坂本 光司氏
「経営者の手帳」 ~経営者が常に心すべきこととは~
2013年5月30日に行われた「第3回サーバントリーダーシップフォーラム」。
「いい組織」「いい会社」には、それを可能にするリーダーシップが存在します。トップはもちろんのこと、組織を動かす一人ひとりがどんなリーダーシップを発揮することが必要なのでしょうか。サーバントリーダーシップはきっと大きなヒントとなるでしょう。
参加者の皆さんにサーバントリーダーシップについて考えて頂くことを目的として、毎回 各界のリーダーをゲストとしてお招きし、ご講演頂いています。
今回は、法政大学 大学院政策創造研究科 教授である坂本 光司氏の講演レポートを掲載させて頂きます。
1.登壇者情報

坂本 光司 氏
法政大学 大学院政策創造研究科 教授
1970年法政大学経営学部卒業。静岡文化芸術大学文化政策学部・同大学院教授等を経て現職。「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」審査委員会委員長等、公務多数。主な著書は『なぜこの会社に人財が集まるのか』(商業界)、『日本でいちばん大切にしたい会社1.2.3』(あさ出版)など。※部署・役職はインタビュー当時のものです
2.講演レポート
「経営者の手帳」 ~経営者が常に心すべきこととは~
■経営者が組織の明暗を分ける
日本全国の株式会社や有限会社のうち、実に75%が赤字となっています。
一方で、私はこれまで7000社を訪問してきましたが、そのうち1割ほどの会社は20年以上、売上高経常利益率が5%以下になったことがないという会社でした。
同じ日本にありながら、なぜそうした格差が生まれるのか。そうした会社が他の会社と根本的に異なるのは、何よりも経営者の考え方やリーダーシップでした。
■ブレない「人本経営」
私は、日本でいちばん大切にしたい会社は「ブレない人本経営」をしている会社と考えています。
お客様を幸せにしたいと思うなら、お客様に幸せを提供する社員を大切にすべきです。経営者に不信感を持っている社員が、業績を上げるために努力をしたいとは思わないでしょう。自分たちの幸せを心底願って行動してくれる上司に対してならば、その人のために寝食を忘れて努力することもあるでしょう。
■社員のモチベーションを高めること
私がモチベーションの研究をした時、社員がやる気を喪失する最大の要因は、経営者や上司に対する「不平・不満・不信感」でした。業績が高い会社の共通点として、社員のモチベーションが高いことが挙げられます。これは業績が高いから社員のモチベーションが上がるのではなく、社員のモチベーションが高いから業績が高まるのです。
社員のモチベーションを高めるには、経営者は「良い職場風土を創る」「正しい目標を明示する」「自らが先頭に立つ」といったことが必要です。
■経営者の最も大切な3つの使命
経営者が果たすべき使命は3つあります。
(1) 向かうべき目標(方向)の明示と決断
(2) 全社員がその方向に向かって全身全霊で努力できるような良い職場環境を創ること
(3) 後継者を発掘し、育てること
商品開発や仕事の管理、社員の育成は現場に任せ、経営者がこの3つの仕事に専念することが、良い組織を創るためには不可欠だと考えています。
経営者が考えるべきなのは、経営戦略の前に、何のためにその会社があるのか、その仕事をするのかという経営理念です。そして、経営者の最大・最高の使命である決断は、いつの時代も私利私欲のためではなく、「正しいか、正しくないか」を軸に行うべきです。
企業経営の成否は、すべてトップにかかっている。だからこそ、経営者は使命と責任を果たすことを大事にしていただきたいと思います。