働き方改革と会議の見直し(3)~オンライン会議での司会者の望ましい役割とは~

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働き方改革と会議の見直し(3)~オンライン会議での司会者の望ましい役割とは~

働き方改革と会議の見直し(3)
~オンライン会議での司会者の望ましい役割とは~ 


1.前回(2)の振り返り?

前回(2)では、政治、経済や外交問題を会議(討論)形式で扱うTV番組として「日曜討論(NHK)」、「プライムニュース(BSフジ)」、「朝生:朝まで生テレビ(テレビ朝日系)」の3つを取り上げて、それぞれの番組の司会者を例に「望ましい司会・進行のありかた」を考察しました。

その結果を簡単に整理すると、下記のようになります。

■「日曜討論」か「プライムニュース」的な司会・進行が望ましい

■その司会・進行のスタイルは
①「日曜討論」 司会・進行は議題の提示・変更、発言者の指名、発言の要約にほぼ限定され、時々、議論の軌道修正をするスタイル。
司会者の振る舞いは俯瞰者で、その下で参加者は発言する機会をほほ等しく確保できている。
②「プライムニュース」 司会・進行は、議題に対する自説(3割)を下地にしたするどく、かつ機関銃のような連続質問(7割)を駆使するスタイル。司会者の振る舞いは介入者で、この質問により参加者間の議論がどんどん深まる。


2.オンライン会議で起きていること?

私の周囲を見回すと、新型コロナ対応で在宅勤務となり、いきおいオンライン会議を主催したり、それに参加する方々が増えています。
ネット上には、ZOOMやMS-teamsといった会議ツールの使い方に始まり、「上司より先にON、上司より後にOFFしましょう」等、ちょっとおせっかいなマナー(?)に至るまでオンライン会議の進め方についていろいろな情報も提供されています。

それはそれとして、我々がオンライン会議で等しく実感するのは「参加者がおとなしくなる」ということです。
リアルな会議でも発言が少なかったり、シーン(静寂)とすることは良くありますが、それとはちょっと性格が異なります。

オンライン会議でのシーン(静寂)は、PC画面上に表示される、こちらをじっと見て、かつ反応の少ない沢山の参加者の顔や、顔の代わりに名前や社員ID等の文字情報が醸し出す「体感覚、空気感」のないデジタルなシーン(静寂)で、何か逃げ場がありません。
また、発言が被ったり、譲り合いになってしまうので、相互に発言を控えます。

こんな様子だからますますシーン(静寂)となってします。中には、これ幸いとばかりに別の仕事をしている参加者もいそうです。


3.司会者の望ましい役割

このようなオンライン会議で司会・進行をやるとなると、焦りますよね。

焦る結果、ついつい司会者がやってしまうのが「参加者がシーン(静寂)⇒間が持たない⇒しゃべりすぎる⇒参加者がシーン(静寂)」というループ作りです。
気持ちはわかりますけれど。

そこで、この「しゃべりすぎ」抑止、言い換えれば違うやりかたでシーン(静寂)を防止する方法を紹介します。
具体的には1.①、②の活用です。

1.①、②は、下線部に示したように「参加者をどう巻き込むか、参加者にどう主体性を持たせるか」ということを考えた上での司会・進行方法のバリエーションです。 


4.具体的にどうするか 

いくつか手法をご紹介します。

(1) 議題を提示した上で(①の活用)、「今から2分間差し上げますので、まずはご自身で考えてください。その後、順番に指名しますので、その結果を紙に書いてカメラにかざしながら説明してください。」という手法が有効です。
紙の代わりにGoogleのspreadsheetやJamBoard、あるいはMiroやMuralといった共有ツールを使っても良いですね。

(2) 呼び水として議題の論点・切り口を提示した上で(②の活用)、「今から2分間差し上げますので、まずはご自身で考えてください。その後、(ZOOMに限られますが)ブレイクアウトルームで2人ずつ意見交換を5分間してください。その後、各ルーム毎に、どんな意見が出たか教えてください。」という手法が効果的です。

(3)オンライン会議では、「ちょっとホワイトボードに書く」ということが出来ないからこそ、「司会者がオンラインツールを駆使して議論を見える化する。」という手法が役に立ちます。
ツールとしてはGoogleのspreadsheet 、windowsのstickynote を使ったり、ZOOMであればホワイトボード、MS-teamsであればonenote等を用いると良いです。
ペンタブレットや2in1PCであれば、電子ペンで手入力でも構いません。

(4) ゴールのある無しで、参加者の会議参加のモチベーションは変わるので、「このオンライン会議では、何が決まったら終了なのかというゴールを最初に共有する。」という手法は基本的事項として押さえたい所です。

(5) 手法というほどではありませんが、上記の(1)、(2)では、参加者は積極性、主体性が求められますから、「誰に参加してもらうか」良く考えることはとても大事です。
リアル会議では、座っているだけの人がいても許されるのですが、オンライン会議ではそうはいかないですからね。 


5.まとめと次回 

繰り返しになりますが、オンライン会議では、いかに参加者に主体性を持ってもらえるかが肝要です。

これはリアル会議で出席者をどう巻き込むかと同じ事ですが、オンライン会議では、より必要となるアプローチでしょう。

次回は、4.(3)の議論の見える化について、具体的なHOWをお伝えします。


吉田 純一郎

ホワイトボードで創造会議 主宰

社内外で広く認められた私自身の会議運営のノウハウを「会議をよりクリエイティブに、効率的に」をコンセプトにパッケージ化し、実務や講座などで広く提供しています。
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