富士フイルム株式会社様
企業の生き残りを賭けて新たなフィールドに挑戦するため、
全社員の意識変革を行なう
ホームページ:https://www.fujifilm.com/jp/ja
お客様情報
人事部 人材開発グループ
担当部長 | 吹野 清隆氏 |
---|---|
担当課長 | 刀根 宏氏 |
会社概要
イメージングソリューション(カラーフィルム、デジタルカメラ、フォトフィニッシング機器等)およびインフォメーションソリューション(メディカルシステム・ライフサイエンス機材、グラフィックシステム機材、フラットパネルディスプレイ材料等)の開発、製造、販売、サービス事業を手掛ける。
導入背景
ピーク時には写真フイルムを含む写真市場で営業利益の7 割を稼ぎ出していた富士フイルム。しかし、急速に進展したデジタル化によって、フィルム市場は急減し、本業が消滅する危機に直面していました。
当時、富士フイルムは同業界でトップだったコダックを抜かし、過去最高益を更新し続けていました。そんな中で、CEO 主導のもとに、事業構造の大転換――写真事業の生産拠点ラインの停止、世界中の現像所や販売網の縮小、リストラ、新規事業への大規模な投資等――が行われていきました。
これに伴って、厳しい経営環境下においても継続的な成長をしていくための、現場の社員の意識変革および組織風土の変革が始まりました。
インタビュー内容
「第二の創業」期における『意識変革と個の強化』
変革への取り組みとして、研修を実施することになった背景を教えて下さい。
当社は長らく、写真フィルム作りの事業を中心に成長してきましたが、このような事業体制・構造が続くと慎重、保守的な意識に陥りがちとなり、そのような企業風土に甘んじることへの懸念がありました。写真フィルム以外の新規分野に積極的に展開していく中で、「新しいものに果敢に挑戦る」企業文化への脱皮が求められていました。
研修対象を課長層にした理由は何でしょうか?
やはり要となるのは課長層(40 歳前後~ 50 代後半まで)ではないかと。現場の最前線ユニットを課とすると、意識変革の最前線は課長層となり、同層が変われば効果的かつ影響力がもっとも大きいのではないかと考えました。また、彼らはマネジャーとプレーヤーの両方の業務をこなし、上長と部下の板挟み的な立ち位置でもあることから、裏を返せば双方に直接的に作用し得るということです。そこで、まずは課長層をメインに始めました。それが2007 年10 月から実施しているCMP(チェンジ・マネジメント・プログラム)研修です。
この研修のコンセプトは何でしょうか?
これは、マネジャーとしてのスキルに問題があるから補おうという意図ではなく、元々の「慎重・保守的な企業風土」の下で、挑戦し続けていくという現実を考えたときに「一歩踏み出す気概を持ち、さらには元気になる」ためのきっかけと位置づけています。最前線の課長層が活性化し、職場全体、会社全体を引っ張って欲しいと考えています。
研修の成果を持続・定着させる体制
研修の特徴を教えてください。
1つは、課長層だけでなく社内のあらゆる階層を巻き込んで展開する仕組み、2 つ目は気づきを重視し、いわゆる「内発的動機(=本人が自分で必要性を感じ自ら変えていく姿勢)」を如何に刺激するか、そして3 つ目は、「やりっぱなし」にしない、ということです。
「変革」というのは時間を要するものなので、1,2 回の研修で効果があがるわけではありません。そのため半年後のフォロー研修や人事担当者による職場ヒアリングを実施し、研修の成果を持続・定着させる体制を整えました。
レアリゼがお手伝いさせて頂いた課長層へのCMP フォロー研修の目的は何でしょうか?
フォロー研修は6か月後に行っています。これは、研修後の6 か月間の報告を中心とした、研修の時と同じメンバー間での意見交換です。変革は小さな行動の積み重ねなので、毎日見ている周囲の人には気づかないことでも、半年ぶりに再会したメンバーにはその“変革度合い” が良く見え、これまで進めてきたことは正しかったという自信を深めてもらう。これが、本人が立てた「行動計画」完遂の原動力となり、職場を巻き込んだ“変革活動” を支えるものと考えています。
研修の成果を持続・定着させる体制
更に、部長層へ弊社の研修を導入された背景を教えていただけますか?
当初、部長層対象のこうした研修は考えていなかったのですが、課長層の研修効果を最大限に引き出す観点から、同時に実施することにしました。より大きな組織ということになると、課長層の上、つまり部長層の関わり方が重要になります。「より高い立場からの支援で、課長層が動きやすくなる」側面支援の視点です。現場で変革を推進している課長層に対して、その一人ひとりが主体性をもって業務に取り組むことができる関係性と場を作るため、部長層自身に、従来のマネジメントスタイルを見直し、より効果的な部下との関わり方や変化の時代に対応できるマネジメントスタイルを学んでもらうのが狙いでした。
組織の一体感につなげる
部長層への研修において、重要視したポイントは何ですか?
会社として「今こういう状況なので、こういう方向性で一緒に頑張っていきましょう」ということを上から目線ではなく、同じ社内の同志として、あくまで受講者と同じ目線で訴えるよう留意しています。私たちは答えを持っている訳ではなく、一緒になって考える立場です。こういうスタンスが研修の一体感や信頼感を高め、ひいては組織の一体感に繋がっていくことを期待しています。
今後に向けての課題は何ですか?
マネジメントクラスだけでなく、部下も巻き込み、職場単位でこうした変革の機運をどう高めていくかが課題となります。形式ばったものではなく、ざっくばらんに研修後の成果や課題などの意見交換をし、現場と人事は繋がっていて、これまで同様に変革を一緒に進めて行こうと、確認し合う感じでヒアリングをしています。人事が研修だけして後は自分で考えてください、というやりっぱなしではない安心感、気にかけてもらっているという信頼感は大きい、と言ってくれています。
現時点での対象者の研修が一巡し、変革へ向けた気づきは確実に高まったと認識していますが、継続的な意識・風土改革という観点から、半年後のフォロー研修に加え、1 年後にも同様に実施できないかなど、変革マインドを風化させない取り組みを模索中です。