野村證券株式会社様

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野村證券株式会社様

野村證券株式会社様

時代の変化を先取りする組織へと変革するために、
真に強いリーダーシップを身につける

ホームページ:https://www.nomura.com/jp/

お客様情報

関 則昭 氏

人材開発部 部長

※部署・役職はインタビュー当時のものです


会社概要

日本を代表する証券会社として、個人投資家向けの長期にわたる資産形成のサービスや、企業向けに資産運用・資金調達など企業価値向上などのサービスを提供している。

導入背景

近年における予測困難な市場環境やITの発達により、顧客が証券会社に対して求める付加価値の形態は大きく変化を遂げ、単なる情報提供に留まらず、顧客の事情や状況をより理解し、より独自性のあるアイディアで高い満足度を得られる提案を求められるようになった。
そのためには、顧客ニーズを最もよく把握している最前線の現場の声に耳を傾けることが重要であり、組織におけるコミュニケーションをトップダウン型からボトムアップ型に変革し、特にマネジメント層においては、チームで協働する意識を醸成することができるリーダーシップを身につけることが求められていた。

インタビュー内容

マネージャー層が自分で考えなくなっている

Q

今回、なぜ支店長クラスの方々に研修を実施されようとお考えになったのでしょうか。

A

実は、弊社は今までマネージャー層の研修というのはほとんどやっていませんでした。
開催するとしても、どうしたら数字が上がるかという単発のスキル研修が主でした。研修の体系が大枠しかなく、どちらかというと経営層や部門からの要請、時代の流行などによって、切り貼りするような形で研修を実施していました。

だから、お金をかけている割には単発で終わってしまって、その瞬間は良い研修を受けたと受講生が思っても、現場に戻ったら学んだことが全部消えているわけです。
なんのために研修をやるのか、目的や継続性がないと、現場の実務とも結びつかないし、ほとんど何も残りません。

一方で、当社の社長も言っていますが、いつの頃からか部長クラスや支店長を含めたマネージャー層が自分で考えずに、言われたことをただやるだけになってしまっている、という問題意識が前々からありました。
その原因は、考える余裕がない、業務範囲が広がっているということ以上に、「考える必要がない組織構造」である、ということがあると思います。
トップダウンで上から降りてくる指示通りにやることで評価される構図ができてしまっている。
だから下から上を見ていかざるをえない。そうした構図は昔からありますが、それが次第に加速していったんですね。
それは長らく同じ人間が経営している体制であったために、経営層の意向に全部合わせていくようになっていったことが大きな要因だと思います。
こうしたら上の人間が喜ぶ、評価される、というのが見えてきたために、お客様ではなく、トップの方を見て仕事をするようになってしまう傾向にありました。


世の中の変化に対応しきれていない

Q

マネージャー層の方も、部下に対してはトップダウンなのでしょうか?

A

特に営業のたたき上げみたいな人間というのは、俺の言うとおりにやればいいんだ、と一方的に下の人間に指示をしています。
なんとか自分の言うとおりに変えようとか、俺の言うとおりにやればお前はこうなる、というように。でも実際はそう上手くいかないわけです。
そういったマネージャーというのは、そういう環境の中で、そういう教育を受けてきたんですね。
今までは、自分がやってきたことを教えれば、それだけで部下が育っていく環境でした。
だから、彼らはリーダーシップであったり、マネージャーとしてマネジメントをどうやっていくかという研修は受けてこなかったのです。

しかし、それでは今の世の中の変化に対応しきれない。今までは単純な成功体験を一子相伝で職人が伝えていくようなものでしたが、今はそうではなくなってきているのです。

さらに、他の支店とは競争相手であるため、そういった悩みを共有するというカルチャーもありませんでした。
上手くやっているのを真似しようというカルチャーはありますが、それはあくまでも戦略とか戦術など、スキルのところに集約しているんですよね。
どうやって数字を上げたか、今月の成果はすごいねという話はありますが、組織が変わったよとか、こうやって下の人たちとコミュニケーションとっているよという会話はほぼ皆無なわけです。

そうなってしまうのは、評価の基準が数字だからです。
自分の評価、支店の評価、すべてが数字。もちろん、人のマネジメントをうまくすることによって結果的に数字に結びつくという視点はあるにはあるのですが、結局その分析まではできていません。
例えば、数字ができている人はなぜできているのか、そこには必ず理由があるわけです。本当に分析していけば、単に商品戦略だけではなく、下で働く人間がやる気になっている等、もっと違う要因があるかもしれない。
けれども、そこにはなかなか意識が向かないのが今までだったのです。


自分が変わって、巻き込んでいく

Q

そうした問題意識から、どのようにして今回の研修に行き着いたのでしょうか。

A

人事部としては、問題を解決するために、まずは現場から変えていくことにしました。
現場から変えていくにはどうしたらいいかと考えて、現場のトップの支店長を対象にすることにしました。
ただ、支店長に変われといっても一人では孤立無援になってしまいます。
そこで、支店長をサポートして、実務的に一緒になって動いてくれる人間が必要だと考えました。
だから、第1段階は支店長や部店長、第2段階はその下にいる次席クラスを対象にしようと決めました。

そしてその研修も、例えば自分たちでこういう研修をやろうといって、研修屋としてプログラムをつくったり、ベンダーさんにお願いするだけなら、誰でもできる作業です。
そうではなくて、今何が必要で、それをどう伝えて、それによって現場がどう変革していくのか。
どういうふうに継続していくことによって、どう変化していくか、ということに最後まで責任を持ってやっていく、それをしっかり作り込みしていこうという考えを根底に持って研修に臨んでいます。

今回は特に、スキルを教え込んだり、その場限りのいい話を聞かせるのではなく、受講者たちが現場で主体的に動いていくような関係を作って残していく、そういう研修の形を作りたいと思いました。
別に今回だけではなく、すべての研修について言えることですが、人事部みんなの共通の認識として、そういう想いはあると思いますね。

その認識のもとに、今回の研修の5日間のプログラムは、根っこの部分である本質的なコンセプトは「自分が変わって周りを巻き込んでいく」というところでした。


自ら考えて、動き始めた支店長たち

Q

研修を実施して、受講者の反応はいかがでしたか?

A

今回のリーダーシップ研修では、目から鱗という人も多かったのではないでしょうか。
今までの研修では、いかに部下に注文を取らせるか、戦場で敵地を落とすための武器とその使い方を教わるような研修であったわけです。
それが今回の研修は、兵法を学ぶようなリーダーシップの研修で、受講者の多くは研修の始めの段階では自分の求めているものとギャップがあって、こんなのは無駄だ、と思っていたと思います。
ところがプログラムが進行していくうちに、だんだんと気づきが起きていって、こういうことが必要なんだ、こう考えるんだ、と分かっていきました。
だから研修の終わり頃には、なるほど、自分が変わっていかなきゃいけないな、とか、周りをどういうふうに巻き込んでいくか、そのために自分がどう関わっていこうか、どういう役割を果たしていくのか、というのを考えて動き始めるんですね。

私も本当に驚いたのが、休日にたまたま当社で経営しているゴルフ場に行ったときに、研修を受けたあるクラスの支店長達が来ていたんです。
何をしているのかと尋ねると、実は支店長研修を受けたメンバーでミーティングをするために集まっているんです、と教えてくれました。
ゴルフでコースを周った後に、パーティルームで発表会をするとのことでした。
休日を利用して全国から支店長たちが集まっての遊びと実務を兼ねた集まりで、1クラスのほとんどがいたと思います。
このゴルフの例は特別かもしれませんが、他のクラスでもメールや電話で情報交換などのやり取りもあると聞いていますね。



次の100年に向けた基盤づくり

Q

研修を踏まえて、今後の方向性を教えて頂けますか。

A

今、私たちの会社は、様々な意味で曲がり角に立っています。
あと十数年たつと、節目の100周年を迎えるのですが、そこから衰退するのか、消えて無くなってしまうのか、次のステージに行くのか、という意味で、この10年ぐらいは非常に大事な時期になっています。
ここで次のステージに行くために、次の100年に向けた基盤を今からしっかりと築き上げるということです。
基盤というのは、単に事業の仕組みだけではなくて、人についても当てはまります。
特に人づくりは1年や2年で出来るわけではないので、この10年ぐらいかけて、次の当社の100年を支える人材をつくることに取り組んでいます。

かつては、同じ金融でありながら、規模でも社会的地位でも勝てなかった「銀行」を超えていくんだ、という想いがあり、いつかいい会社になっていくんだ、という志がありました。
今では時代が変わって、金融業界という一括りの中では良い会社に位置付けられるようになりました。
しかし、そのせいでかえって志やハングリーさみたいなものが、いつの間にか失われてきて、そこに慢心やおごりが出てきてしまったというのもあります。

だからこそ、自分の会社の生い立ちや歴史、どういう思いで先人がこの会社を創ってきたかということを全員で共有するなど、原点回帰にあらためて取り組んでいます。
当社そのものが変わっていく中で、ここから新たなものを創り上げていく10年になるでしょうね。
そして当社を創っていくという意味で「人をつくる」ということが最も大切なことだと考えています。

事例概要

実施プロジェクト リーダーシップ研修
対象者 全国の支店長および支店の次席クラス
実施プログラム リーダーシップ・プログラム
目的 人成熟化、多様化された市場においてお客様のニーズや情報が細分化し、スピード感が必要とされる中、自身を見つめなおすことで、お客様やメンバーへの関わり方を振り返り、それらをもとに自社の理念や価値観について考える。
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