働き方改革と会議の見直し(2)~司会者の望ましい役割とは~

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働き方改革と会議の見直し(2)~司会者の望ましい役割とは~

1.会議の3つのタイプ



政治、経済や外交問題を会議(討論)形式で扱うTV番組として「日曜討論(NHK)」、「プライムニュース(BSフジ)」、「朝生:朝まで生テレビ(テレビ朝日系)」が有名です。(高視聴率を誇る「サンデーモーニング(TBS系)」は、テーマに対して出席者達がコメントを述べるという建付けなので、性格がちょっと異なります。)この3つの番組はいずれも会議(討論)形式をとりますが、その進め方や内容はずいぶん違います。

そこで会議のタイプを4象限に分けて考えて、そこに、この3つの会議をやや極端にプロットすると、図1のようになります。

(図1)

会議(討論)形式のテレビ番組のプロット

皆さんはどの番組、タイプが好みですか。個人的には「朝生」が好きです。なにか自由奔放で感情むき出しなショーを見ているようで、真夜中にも関わらず、見ていてテンションが上がるからです。

 

2.働き方改革で求められる会議はどのタイプか

例示した3つの会議はいずれも「結論を出す」が目的ではないので、やや要件不足ですが、仕事の会議として、その適格性をみるとどうでしょう。

働き方改革で求められる会議の要求仕様は、単に時間が短いだけでなく、限られた時間内に深い議論をして、意思決定できる事ですから、図1で言えば第Ⅰ象限にある会議が好ましいでしょう。ですから、残念ながら「朝生」的会議は落第で、「日曜討論」か「プライムニュース」的な会議が好ましいとなります。実際の皆さんの日頃の会議はどの象限に位置付けられますか。

 

3.第Ⅰ象限の会議を実現するために司会者が最低限行うこと

さて、「日曜討論」や「プライムニュース」はなぜ第Ⅰ象限なのでしょうか。

ここで、この3つの会議の司会者に焦点を当ててみましょう。

まずは「日曜討論」、「プライムニュース」そして「朝生」を、YouTubeで結構ですから、司会者がどういう立ち位置にいるかという視点でご覧になることをお勧めしますが、ざっと図解すると図2のようになります。

(図2)

司会者による議論への介入度

「日曜討論」、「プライムニュース」~「朝生」の司会者の立ち位置の大きな違いは、会議をサッカーの試合と見立てたときに、前者2つは司会者の立ち位置が審判、後者はフォワードに近いということです。

「日曜討論」の司会者である二人の論説委員(伊藤雅之さん、太田真嗣さん)は、Aご自身の発言は議題の提示・変更、発言者の指名、発言の要約にほぼ限定され、時々、議論の軌道修正をします。その振る舞いは俯瞰者で、その下で参加者は発言する機会をほほ等しく確保できています。司会者の振る舞いはサッカーで言えば審判に近いですよね。審判機能が適切に動いているので選手は試合に専念できます。加えて審判としてホイッスルを吹くこと(すなわち介入)は、最小限であり、試合の黒子に徹しています。

ファシリテータは中立であれ、と言われますが、その限りにおいて、この二人は、「会議中、論客揃いの政治家達を公平に扱い、時間通りにピタッと終わらせることのできる力量」も踏まえて、私は日本国内でも最高レベルのファシリテータだと思います。

「プライムニュース」の司会者である反町理さんは、ゲスト参加者が1~3名と少ないこともありますが、Bその介入量はとても多いのです。介入手段は、自説を下地にしたするどく、かつ機関銃のような連続質問です。この質問により議論がどんどん深まります。自説と質問の比率は3:7位ですね。ホイッスルを小気味よく吹くことで試合を作る審判というところです。選手は時々試合を中断させられますが、そのパフォーマンスは十分に発揮できています。

ところで私の好きな「朝生」の司会者の田原総一朗さんはどうでしょう。番組の性格上、田原さんは意図的に演じている部分もあるのかもしれませんが、C多くの場合、議論に首を突っ込んで、感情丸出しで好きなことを言っています。他の発言者に対して、その発言を否定する、遮る、挑発する、時に人格攻撃もします。時間管理もしないし議論が横道に反れてもお構いなしです。その様は、審判どころか、手の付けられないフォワードです。審判がいないのも同然ですから、他の選手達、すなわち参加者達も好き勝手に振る舞い、ミニ田原総一朗化してしまっています。見ている側は楽しいですけれど。

 

4.結論

さて、そろそろ結論です。

第Ⅰ象限の会議をするためには、司会者がホイッスルを吹く頻度はともかくとして、選手のパフォーマンス発揮を一番に考える審判になること、すなわち、司会者が自分の役割は下線部Cでなく、下線部A、Bの立ち位置として機能することだと自覚することが必要です。

とは言え、議題の説明者・提案者が司会者を兼ねた会議の場合は、この自覚をすることはとても難しく、程度の差はあるにせよ、Cの立ち位置となりがちです。自分がフォワードとして提案を通したいですから。

次回は、この自覚する術を「意識する」といった精神論でなく、もうすこし具体的なHOWレベルで考えてみたいと思います。

 

以上